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 昨夜BS2で放送された、ストラヴィンスキーの「兵士の物語」を観ました。

 初めて「兵士の物語」を拝見したのは、今年の3月に行われた倉敷音楽祭でのことでした。あの時の「兵士の物語」は、指揮者のIさんが悪魔役を兼ねていて、思いっきりハジけておられて。ヴァイオリンの某Kフィル・ソロコンマスのIさんの魅力が炸裂!なステージでして。
 かなりシリアスなストーリーのはずなのに、コメディに演出されていて、会場は大爆笑の渦に包まれておりました。

 でも、この「兵士の物語」は全く違った印象を受けるんだろうなぁ。
 と興味が沸いたので、観ることに致しました。

 番組のHPによれば、出演者&演奏者は以下の通りです。

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  悪魔 : 田中  泯
  兵士 : 玉井 康成
  王女 : 石原 志保

  バイオリン : 永峰 高志
  コントラバス : 池松  宏
  クラリネット : 横川 晴児
  ファゴット : 水谷 上総
  トランペット : 井川 明彦
  トロンボーン : 池上  亘
  パーカッション : 植松  透
  指 揮 : 準・メルクル
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 舞踏家の田中泯さんと、指揮者の準・メルクルさんが組んだこの「兵士の物語」
 ステージで上演されたものではなく、NHKのスタジオに3トンもの砂を敷き詰め、ダンサーが衣装・メイクを施しているのはもちろんのこと、N響メンバーである演奏者も衣装を着て、収録されたものでした。

 だからでしょうか。
 ライティングもすごく凝っていて、映像をいくつか重ねる演出もあって。指揮者や演奏者は、砂の上に台を置いて、円形に配置されていて、その中心や、周囲を回るようにダンサーが踊る。なんてシーンもありました。
 セピア色で、陰影を強調するようなライティングと、床に敷き詰められた砂のためなのか、すごく殺伐とした印象を受けます。

 兵士や悪魔の踊りに、多分NHKのアナウンサーなのでしょう、ゆっくりとした語りが重なっていて、話の流れがよくわかるようになっていました。改めて拝見していて、「なるほど、あのシーンはそういうことだったのね」と納得する所も多々ありました。やはり、3月のステージは指揮者Iさんの奇抜なスタイルやハジけっぷりと、ヴァイオリンのIさんのステキなご様子に目を奪われて、話の流れがイマイチよくわかっていなかったようです(汗;)。
 また、指揮者の準・メルクルさんがシーンの変わり目などに映し出されて、事の成り行きを見守っているような感じでした。指揮者が音楽だけでなく、ストーリーまで統率しているような趣向が面白かったです。

 3月に観たときは、分不相応なものを望んだがために、身を滅ぼしていく兵士の様子がすごく印象に残ったのですけれど。
 この「兵士の物語」は、“音楽”と“言葉”の関係性が前面に押し出されているようでした。“音楽”を象徴する兵士と、“言葉”を象徴する悪魔。その関係が、兵士の持っているヴァイオリンと、悪魔が持っている“未来を見通すことのできる本”を交換することで入れ替わってしまう、という。
 その本を手に入れたことで、交換不可能なものを交換してしまったために、兵士は本来生きていた“時間”とは別の“時間”を生きるようになってしまう。そしてまた、悪魔からヴァイオリンを取り戻すことで、再び元の“時間”へと戻ってくる。その辺りの話の展開が、この放送では上手く言葉と踊りで表現されているように思いました。

 観ていて面白いなぁ、と思ったのが。例えば「小川のほとりの小曲」などで、演奏していないメンバーが演技に加わっている点でした。曲が鳴っていない部分でも、例えば村人になったり、めいめいに楽器の手入れをしたり。普通の人々は兵士とは全く違う時間を生きていて、兵士だけが孤立している様子がよくわかりました。
 かと思えば、時々演奏している台から下りて、兵士に絡んでいく、というシーンもあって。横たわる兵士に砂をかけたのも、ひょっとして彼らだったのかしら?と思いながら観ておりました。

 曲の方は、ストラヴィンスキーということもあるのでしょうか。噛み合うようで、噛み合わない。何となく不安を覚えるようで、奇妙な浮遊感がある。
 そんな和声が、本来入れ替わるはずのないものが入れ替わってしまったり。本来生きるはずのない時間を生きてしまう、という不思議な物語にピッタリとマッチしているように思います。

 ステージで上演されるものとは、一味も二味も違った「兵士の物語」
 音楽と踊りと語りでつづられるこの物語は、様々な演出を許容する、懐の広いものなのだなぁ、と感心させられました。

 というか、私が3月に観たアレが、あまりに極端すぎたのかもしれませんね(笑)
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結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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