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金聖響指揮
 ベートーヴェン作曲 交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
  (2003年リリース WPCS-11685)


ベートーヴェン作曲
  交響曲第3番 変ホ長調 作品55《英雄》
    第1楽章 Allegro con brio
    第2楽章 Marcia funebre:Adagio assai
    第3楽章 Scherzo:Allegro vivace
    第4楽章 Finale:Allegro molto
  《コリオラン》序曲 作品62

管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:金聖響
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 第5番「運命」に続いて聴いた、金聖響&OEKによるベートーヴェンの交響曲のCDがこの第3番「英雄」でした。「運命」では目からウロコで衝撃的な演奏を聴かせて下さったので、「英雄」はどうかしら?と期待しながら聴きました。

 全体として、明るくて、清々しくて、それでいてとても熱い「英雄」でした。
 このCD、OEKの定期演奏会で演奏されたものがそのまま収録されているということで、指揮者の息遣いとか声も聞こえてきて、聴いていて、まるでそのホールにいるかのような臨場感がありました。

 フォルテ2発の和音、という短い序奏から始まる印象的な第1楽章は、突き抜ける青空のような明るさと清々しさがあって、とても優雅で、聴いていてとても気持ちいいです。
 この楽章、作曲された当時はトランペットで出せる最高音が限られていたために、ラスト近くのクライマックスで華々しく旋律を吹き鳴らすトランペットが突然姿を消して伴奏に回る、という事態が起きているのですね。でも、今のトランペットは主旋律を続けて吹くことが可能なために、指揮者の中には楽譜を修正して、続けて吹かせている録音も数多くあります。
 が、楽譜を忠実に再現することを心がけておられる金聖響さんが、楽譜を「修正」するはずはなくてですね。楽譜どおりに演奏されているのですが、その部分は初めからトランペットを目立たせなくすることで、不自然に聞こえないように工夫されているようでした。

 続く第2楽章は、「葬送行進曲」と書かれた、壮大で荘厳でドラマティックな楽章です。この楽章が秀逸でした。
 始まりの主題は、静かで荘厳で重々しく。
 長調へと転調する再現部は、重々しさを残しつつも華々しくて。
 再び短調へと戻って、主題がもう一度登場して、フーガへ突入するこの部分を聴いていて、泣かされました。もともとこの部分は、どこかバッハを思わせるようで、好きな所だったのですね。でも、泣かされたのはこのCDが初めてでした。
 第2ヴァイオリンから始まるメロディが、次々に受け渡されていって、形を変えて、だんだんと盛り上がっていくこの部分。上へ上へと駆け上っていく音の先にガーン!と鳴らされるティンパニが、さながら天から下される鉄槌のように激しくて、鋭くて。聴こえてくる音に、どうしようもなく心が揺さぶられて、堪えきれなくなって、泣きました。以来、ここを聴くたびに何度も泣きます(笑)。
 続く再現部にも、途中でとても優しく包み込まれるような部分があって、やはり好きだなぁ、と。
 全体的に、テンポは遅めで、とてもドラマティックに彩られた第2楽章の「葬送行進曲」だと思います。もし、私が死んだらこの曲で、金聖響&OEKの組み合わせで演奏されたこのCDで、送ってほしいなぁ、なんてことを思ってしまいました。

 なお、このCDを入手してから3週間ほど経ったある晩。
 イヤホンでこの曲を聴いていました時に、ちょうど私が泣かされる場所で、何やら引っかかる音を耳がキャッチしました。
 それは、明らかに男性の声で、しかも妙にリズムに乗っておりました。そして、先に聴いていた『運命』のCDに付いていたリハーサルのドキュメンタリーDVDで、振りながら歌っておられる聖響さんの声にそっくりでした。
 そう、彼は、思わず声が出てしまうくらい、この部分を、とても気合を入れて振っておられたんですね。声が入っていると気づいたのはその時が初めてだったのですけれど、声が聞こえていなくても、その彼の熱意とか、振っている時の気合とか。ちゃんとオーケストラが受け止めて、音にして、それを聴いてどうしようもなく感動して泣かされていたわけか、と。
 それに気づくと同時に、これまた、CDという媒体を通じてでもこれだけの「熱」を伝えてくる金聖響という指揮者の卓越した表現力と言いますか、熱意と言いますか。改めて、これはとんでもない指揮者に出会ったものだなぁ、と感心してしまいました。

 余談ついでにお話しますが、私が所有しているもう1枚の《英雄》。ジョージ・セル氏が指揮しているのですけれど、こちらのCDを改めて聴き直してみましたら、彼も金聖響さんと全く同じ場所で声を挙げておられました。
 第2楽章の展開部は、振っている指揮者もとても力が入る場所なんだなぁ、と。勝手に解釈させていただいております。

 続く第3楽章は、第2楽章の重々しい空気から一変して、明るく弾むようなスケルツォ。短い楽章ですが、楽しくてとても好きです。
 そして華々しく始まる第4楽章。
 この第4楽章は、「プロメテウスの創造物」というバレエ音楽の終曲を基にして作られていて、主題を7回繰り返して変奏していく、という面白い楽章です。
 華々しく始まって、いきなり音量が落ちて、弦楽器のピチカートで奏でられる主題がとても愛らしくて、微笑ましい思いで聴いてしまいます。手を変え、品を変えて展開されていくそれぞれの変奏も面白くて、楽しくて。ラストは一気に突っ走って華々しく終わってくれるので、生で聴いたら終わった瞬間に「ブラボー!」と叫んでしまいそうです。スッキリ爽快、といった感じでした。

 もう一つ余談ですが、この《英雄》。
 金聖響さんの公式ブログにて、最初と最後の1分ずつ、演奏している映像を見ることができます。曲を聴いて、こんな感じで振っておられるのかなぁ、と何となく思っていた通りの(いや、それ以上に表情豊かに)振っておられて、感激致しました。
 その映像、ぜひとも全編ノーカットで収録してDVD化していただきたいのですが……ムリでしょうか(苦笑)。

 同時収録の《コリオラン》序曲も、重々しく鳴り響いたかと思うと、断ち切られる音。そして訪れる一瞬の静寂。劇的で、ステキな演奏だと思いました。

 この《英雄》。
 ぜひとも一度、金聖響さんの指揮で、生で聴いて体感して、泣きたい1曲です。
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結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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