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 金聖響さんがシューマンやメンデルスゾーン、ブラームスなど、いわゆる「ロマン派」と言われる作曲家を数名取り上げた「ロマン派の交響曲」を出版されたのが、去年のこと。
 ブラームスはチクルスで交響曲を全曲聴きました。
 シューマンやメンデルスゾーンも、折に触れて聴く機会がありました。
 シューベルトは……ちょっと未聴ですが、これだけあちこちのコンサートに行っている割には、ガッツリと聴いたことがないのがチャイコフスキーでした。
 協奏曲は「21世紀の新世界」とかで聴いたことがありますが、交響曲にはまだお目にかかったことがなくて。でも、一度ガッツリとしっかり聴いてみたいなぁ、と思っていたチャイコフスキーを2010年のシリーズコンサートで取り上げるということで、行かねばなるまいっ!!と気合いを入れて、行ってきました。

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聖響/チャイコフスキー選集 第1回

オール・チャイコフスキー・プログラム

歌劇「エフゲニー・オネーギン」より“ポロネーズ”
弦楽セレナード
(休憩)
交響曲第4番 ヘ短調

指揮:金聖響
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

ザ・シンフォニーホール 14:00~
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 今年のシンフォニーホールで行われる聖響さんのシリーズコンサートはおチャイコさん。お相手のオケは関フィルさん。年始の「21世紀の新世界」で、いきなり凄すぎる爆演を聴かせて下さった組み合わせということで、期待せずにはいられません。
 ましてや、今年の聖響さんはノリにノッて絶好調!な感じなので、どうなっちゃうんだろう!?と思っておりました。

 今日は襟元が少し開いた学ラン型スーツで登場なさった聖響さん。
 1曲目は、数年前の「21世紀の新世界」でも演奏された「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズ。
 明るくて華やかなこの曲は、まさに今年のシリーズの幕開けに相応しい曲でした。
 1曲目ということもあってなのか、オーケストラが自然に演奏するのに任せて必要以上に口出しをしない、と言いますか。要所要所で手綱を引く程度の最小限の指示で止めているような聖響さんだったのですが。関フィルさんは最初から熱のこもったステキな音を響かせて下さってました。

 続いて前半に演奏されたのは、弦楽セレナード。
 数年前によく流れていた人材派遣会社のCMで、冒頭部分を耳にしたことのある方も多いのでは?と思うのですが。そういうことを思い出す隙もない、見事な演奏でした。
 弦楽セレナードということで、ステージ上には弦楽器の皆さんだけが残って。それも、若干人数を絞っての演奏でした。
 この弦楽セレナードが。
 第1楽章の冒頭から。
 ヤラれたっ!!(>_<。)
 という感じでした。

 何なんでしょう。
 実際に音が出る前の、あのエネルギーが凝縮したような感じ。
 そして音が出た瞬間に、それが爆発するような燃焼感。
 ちょっと骨太と言いますか、パワーのある関フィルの弦楽器陣の音色が幾重にも重なって、空気を震わせると同時に、全身が揺さぶられる感覚でした。
 聖響さんが振るので、テンポは全体的に速めの設定。
 しっかりとヴィブラートを効かせて歌いあげたかと思うと、時折ふっと入ってくる開放弦の鋭い音にドキッとさせられました。
 この曲、かなり有名な曲ですし、CDも持っているのでそれこそ何度となく聴いているはずなんですが。
 初めて聴いた曲のような、新鮮な驚き&感動と共に聴きました。
 この曲は弦楽器オンリーで演奏されるということもあったのか、聖響さんは指揮棒を持たずに振っておられました。そのためか、両手でかなり細かく曲に表情をつけておられたように思います。しっかりと歌い上げる所、キリッと締める所、自然に流す所……といった感じで。
 第1楽章の曲が進んで行って、再び冒頭のメロディに戻ってきた時。
 どうしようもなく心が揺さぶられて、気が付いたら泣いてました。
 何だかもう「何が」とか「どこが」とか「どうだったから」とか。
 そういう理由が付けられないと言いますか、言葉にならないと言いますか。
 ただ、これだ!と思いました。
 この弦セレが聴きたかった!!と。
 このテンポで、このニュアンスで、この音色で。心のどこかで求めていた音楽が目の前に完璧な形で現れたような感覚でした。
 続く第2楽章。
 これまた美しいワルツなんですが、テンポ感がちょうどいい心地よさ。そして、フェルマータの「溜め」が、いやらしくならない程度に上品さを保った、ギリギリの長さ。聖響さんにしては、ちょっと長めかな?と思いました。
 この楽章は、聖響さんにしてはテンポの揺れや、途中の「間」が多かったように思います。でも適度に上品で、しなやかで美しいワルツでした♪
 第3楽章は、弱音器をつけたヴァイオリンの音色がたまらない1曲。音量は抑えられているんですが、抑えきれない情熱が内から溢れ出てくるような音に、またまた涙。。。
 ラストの第4楽章は、緩急のバランスが絶妙で、とてもメリハリの効いた曲だったように感じました。弦楽器オンリーで演奏されているのに、フルオーケストラで交響曲を聴いているような、スケールの大きさを感じる最終楽章だなぁ、と。
 そして第1楽章冒頭の序奏に戻ってきた時の、あの感動と言ったら!
 ギュッと凝縮されたエネルギーが、音と共に一気に解き放たれるパワーが、「壮麗」とたたえられるメロディに重なって、全身を突き抜けていった感じでした。

 この曲を聴いて、こんなに泣いたのは初めてだと思います。
 拍手しながら相当キてまして。
 休憩時間に客席の外に出て、「ヤバい!かなりヤバかった!」的なことをツイッターに口走って、ホワイエに降りて、別の席で聴いていた母の姿を見て「凄すぎたっ!」と泣きついてしまいましたから(笑)
 今までに何度となく聴いていて、大好きな曲ではありましたが。
 これほどまでに素晴らしい曲だったのか、と再認識した今日の演奏でした。

 とまぁ、前半からもう言葉にならないレベルでかなり感動していたのですが。
 後半の交響曲が、これまたヤバかったです。

 強烈な金管のメロディで始まる第1楽章。おチャイコさんは「これは運命です」と説明していたそうですが、強烈さと共に、身を斬られるような緊迫感があって、ホールの空気が一変する感じでした。
 聴いていた場所が場所で――なにせ、5シリーズ連続で指揮者真正面の席なもので、ティンパニの真後ろ=金管が足元から聞こえてくる場所だったためでしょうか。
 あの強烈な金管のメロディがもの凄く衝撃的で、一気に集中力が高まったような気がします。
 光と闇が交互にやってくるような、劇的な展開を見せる第1楽章なんですが。
 強烈で抗いようのない「運命」に打ちのめされたかと思ったら、ちょっと明るい希望が見えて。でもどこか投げやりな気がするんですよ。「どうでもいいじゃん、そんなこと」と、目を逸らして逃れようとして足掻いて。
 でも、いきなり首根っこを掴まれて「直視しろ!」と烈しく叱咤されて苦しい現実を見せつけられるような、そんな感じ。
 厳しくて、烈しくて。
 逃げ出したいんだけど、逃げられない。
 曲に完全にシンクロした感じで、あまりの衝撃に言葉が出ない第1楽章でした。

 続く第2楽章は、一転して穏やかな展開。
 ここからは聖響さんも指揮棒を置いて、両手で細かい表情をつけながら振っておられました。
 優しくて感傷的な音楽なんだけれど、どこか理性で抑制をかけて感傷的になりきれない様子、とでも言いましょうか。ティンパニの規則正しいリズムとか、繰り返されるフレーズとか。そういった音楽の欠片が、感情に流されすぎない理知的な雰囲気を醸し出していたように思います。
 ……なんて思うのは、多分。
 聖響さんが、必要以上にテンポが落ちないようにかなり細かく制御して、しっかりとオーケストラをコントロールして次の展開に持って行く場面が何度か見られたからなのかもしれません。

 第3楽章は、弦楽器の皆様方は弓を置いてピチカートで演奏する、民族音楽的な楽章。プログラムによれば「バラライカの合奏を模倣したもの」なのだそうですが、言われてみれば確かにその通り。クレムリンでコサックダンス……ではないですが、アイリッシュダンスの名作「リバーダンス」で出てくるロシアの踊りで、こういった感じの曲調の場面が出てきたのを思い出しました。
 ただ、この楽章。
 ピチカート奏法での弦楽器低音群が大変そうでした(苦笑)
 走ったり、遅れたり……とテンポを保つのが大変そうで、聖響さんがキッチリ縦の線を合わせようと右手を振ったり、「ちゃんと聴き合って」と指示したりする場面が結構見られました。
 でも、ずーっと弦楽器群がピチカートで演奏するのかと思いきや、途中で木管オンリーになったり、続いて金管オンリーになったり。音の展開も面白い!と思う楽章でした。

 で、そんな第3楽章から息つく暇もなく突入した第4楽章。
 これがまた、キョーレツでした。
 まぁ、いきなり大音響が炸裂するので、当然と言えば当然なんですけど。
 この楽章、何だかあまりにも凄すぎて、実はよく覚えておりません(汗;)
 衝撃的すぎて涙も出ない、という感覚や。
 凄すぎて笑っちゃう、という感覚や。
 いろんな物が全身を突き抜けていって、かき乱された感じでした。
 第1楽章冒頭の強烈なファンファーレが戻ってきて、怒涛のラストまで。4月や5月のマーラーでも味わった、「スゴすぎてワケわかんない!」な感覚を味わってました。

 気が付いたら曲が終わっていて。
 完全に呑まれてました、曲に。
 熱狂していく聖響さんと関フィルさんに完全にシンクロして、真っ白になっちゃった感じでした。
 客席のあちこちから飛ぶ「ブラボー」の声は、当然として。後ろの方から聞こえてきたオバサマ方の黄色い声には、つい、苛立ちを覚えずにはいられませんでした。せっかくの感動に水を差されたような感じがしたのです。同じ演奏を聴いても、感じ方は人それぞれなので仕方ないんですが。。。
 コンマスさんが客席に一礼して、オケの皆様方がステージから去って行かれて。客席からも人が引いて行くのを見ながらも、立てませんでした。何だか呆然としてしまっていて。

 かなりヤバかったです。

 口を開いたら泣いてしまいそうだし。
 終演後に行われた聖響さんのサイン会の列に並んでも、ずっと手は震えてるし。
 足元も、ちゃんと地面を踏みしめているにもかかわらず、現実感がなくて。

 何だったんでしょう、あの「打ちのめされた」感じ(笑)
 でも、それが酷く幸せで、嬉しいというあの感じ(笑)

 4月の神奈川フィル定期でのマーラーの3番。
 先月の神奈川フィル創立記念コンサートでの、マーラーの「復活」。
 それに続いて、今日のおチャイコさん1回目。

 まさか、3カ月連続で、こんなに凄すぎる、とてつもなく素晴らしい演奏が聴けるとは思いませんでした。
 その全てに居合わせることができた幸せを、今日は噛みしめました。
 同じ時代に生まれ合わせて、リアルタイムでその生演奏に触れる機会に恵まれたことを、本当に心から感謝する1日でした。
 今までにベートーヴェンやブラームスなど、それまでに抱いていた印象や曲への思いなど、全て上書きされてきましたが。今日はおチャイコさんの印象が上書きされたように思います。
 求め続けてきた演奏に、やっと巡り合えた!そんな充足感でいっぱいです。

 素晴らしい演奏を聴かせて下さっただけでなく、お疲れの所をサイン会まで開いて下さった(でも、大阪では本当に久しぶりだったので、めちゃめちゃ嬉しかったです♪)金聖響さんに。
 聖響さんの指揮を凌駕する熱演を聴かせて下さった、関西フィルの皆様に。
 心から感謝申し上げます。
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結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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