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 チャイコフスキーの未完成交響曲を、チャイコフスキー記念財団が補作作業をして、その完成版を日本で初演する。
 それも、西本智実さんが指揮をする。
 加えて、地元のホールに来てくれる!
 となれば、聴きに行かないわけにはいかないでしょう!
 というワケで、聴いてきました。

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西本智実 
 チャイコフスキー未完成交響曲「ジーズニー」日本初演ツアー2006

オール・チャイコフスキー・プログラム

未完成交響曲「ジーズニー」 変ホ長調
 (復元プロジェクトによるオリジナル楽譜に基づく)
交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

(アンコール)
アンダンテ・カンタービレ

管弦楽:チャイコフスキー記念財団 ロシア交響楽団
指揮:西本智実

岡山シンフォニーホール 18:30~
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 プログラムによれば、今日演奏された『ジーズニー』は、交響曲第5番と第6番の間に作曲され、第1楽章はオーケストレーションがほぼ完成、第2楽章は約60%まで仕上がったところで突然中断・破棄された未完成交響曲なのだそうです。
 そのオリジナル楽譜を作曲家ピョートル・クリモフ氏によって復元・補筆され、その完成版を5月7日にモスクワで初演。
 日本では30日の大阪公演を皮切りに、全国ツアーで聴くことができるというので、とても興味深く思い、楽しみにしていました。

 が、昨日は倉敷市民会館でKバレエカンパニーの『ジゼル』を鑑賞したばかりでして。
 2日連続で良席を取るほどの余裕はなくて(汗)。
 今日は3階席の4列目の真ん中で聴きました。

 大阪公演は交響曲第5番を演奏して、休憩を挟んで『ジーズニー』というプログラムだったようですが、今日の岡山公演は先に『ジーズニー』を演奏して、後半に第6番というプログラムでした。
 聴いた感じでは、『ジーズニー』は第5番に似ているかな?と思う部分がありました。なので、対極にある第6番と合わせて演奏される今日のプログラムの方が、聴いていて面白かったかも、と思います。

 で、その『ジーズニー』です。
 ホールに集った観客が誰も聴いたことのない曲です。
 どんな曲なんだろう?とワクワクしながら聴きました。

 第1楽章は、ティンパニの小さな連打に乗せてファゴットのメロディが奏でられる、という出だし。第6番の始まりによく似ていました。
 変ホ長調という柔らかい調性で書かれていて、とても華やかな印象がありました。
 第2楽章は、弦楽器の柔らかいメロディから始まる曲。その柔らかく、温かい音色にふわりと包まれる感覚に、思わず落涙してしまいました。とても美しい、けれどただ美しいだけではなく強靭さとしなやかさを内包しているような楽章でした。
 弦楽器が何重にも折り重なった上に、管楽器が乗っていくという、「これぞおチャイコさん!」的なオーケストレーションの部分があって、とても強く印象に残りました。
 この交響曲の『ジーズニー』というのは、ロシア語で「人生」「生涯」という意味なのだそうです。
 この交響曲で描かれる「人生」は、決して苦しいばかりではなくて。
 生きていると、何かいいことがあるでしょう? 確かに、嫌なことも苦しいこともたくさんあるけれど。でも、それだけではないでしょう?
 と優しく語り掛けてきてくれるような、時に優しく心を包み込んでくれるような。
 そんな温かさを感じる演奏でした。
 そして第3楽章。
 どんなに苦しくても、歯を食いしばって、頑張って生きていこう。
 そんな風に、元気づけて、励ましてくれるような曲だなぁ、と思いながら聴かせていただきました。

 第2楽章冒頭部の弦楽器の音色、本当に美しかったです。
 第1楽章からオーケストラの音に背中がゾクゾクするくらい興奮気味だったんですが、この第2楽章の弦楽器は本当に綺麗で。ふわりと、透明な音のヴェールに包まれたようで、優しくて。涙が止まらなくなりました。
 おチャイコさんの交響曲って、こんなに優しくて温かい曲だったんだなぁ、と。
 今夜の演奏を聴いて、初めてそう感じることができました。

 前半がそんな調子でしたので、後半の『悲愴』は大変でした(笑)。

 低い音域の弦楽器が静かに鳴る上に、ファゴットが歌いだす第1楽章。ああ、さっき聴いた『ジーズニー』の始まりに似ているなぁ、と。最初は普通に聴いていたんです。
 でも、序奏に続いて出てくるメロディ「シ・ド♯・レード♯ シミレシレード♯♪」を聴いた瞬間に、再び涙腺が決壊しました。
 悲劇性を感じさせる、劇的な部分と。甘美なメロディと。
 穏やかな平穏の日々と激動の日々が、入れ替わり立ち代りやってくるようなこの楽章ですが、劇的な部分と穏やかさの落差に圧倒されながら、甘美なメロディを聴いて涙が止まらなくなる、という状態でした。

 第2楽章は、4分の5拍子という不思議なリズムで、軽く弾むようなメロディがなんとも心地いい楽章です。この楽章も、随所で泣きながら聴いてました。
 オーケストラを見ていて面白いなと思ったのが、ティンパニさんです。
 通常は、左右交互に叩くんですが、右と左、利き手と非利き手では、均等な強さで叩く努力をしても、ほんのわずかに叩く音の強さが変わってしまうことがあるんですね。だからでしょうか。曲に合わせて左・左・右・右・右、なんて叩き方をしておられました。

 第3楽章は、テンポが速くて華やかな楽章です。
 今夜のオーケストラは、舞台下手側から第1ヴァイオリン→第2ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ、上手側奥にコントラバスという配置になっていまして。この楽章で出てくる、第1ヴァイオリンから徐々に低い方へとピチカートが受け渡されていく部分が、綺麗に下手側から上手へと流れていて、絶妙な音響効果を生んでいました。
 全体的に悲劇性の強いこの交響曲の中にあって、唯一華々しく終わるこの楽章。
 生で聴くと、本当に「幸せの大洪水!」と言いますか、「幸せの絶頂!」と言いますか。人生の享楽を目いっぱい楽しんで、弾けまくって終わるような感じを受けました。
 今夜の演奏は本当に圧巻!と言いますか、圧倒的でして。
 西本さんもオーケストラも爆演!状態でした。
 終わった瞬間に、客席から思わずといった「ブラボー!」の声と拍手が上がりました。私はといえば、ただ圧倒されて呆然と聴き入っていたんですが(笑)。

 第3楽章は
「もう、深く考えずに人生楽しんでしまえ! 楽しんだ者勝ちだ!」
 的に終わるんですけれど。
「でもね、それだけじゃないでしょう? 何か大事なことを忘れているんじゃない?」
 第4楽章を聴くと、そんな風に語りかけてこられるような気がします。
 そして、やっぱり泣いてしまうわけです。第3楽章で忘れていた涙が、ここに来てまた一気に溢れ出してしまいました。
 蓄積していた苦しみや悲しみを一気に吐き出すような、第1主題が再び帰ってくる辺り。全休符の後に一瞬訪れる静寂、次の音へ全身全霊を込めて指揮棒を振り下ろす西本さんの息と声が、3階席まで聞こえてきました。渾身の指揮に、視線が釘付けになってしまいました。
 絶望に満ちて、悲しみの深い淵へと沈んでいくような静かな終曲。音が鳴り止むか止まないか、ギリギリの緊張感を息を潜めて味わって。
 それでも、ちょっと早いかな?という拍手がパラパラと飛び出してしまったのが、ちょっと残念だったかも、と思います。

 アンコールは、『アンダンテ・カンタービレ』。
 絶望の淵に沈みこんだ心に柔らかい光が差して、救いの手が差し伸べられるような、とても美しい演奏でした。

 といった具合にですね、本当にボロボロ泣きまくってしまうコンサートでした。
 ロシア交響楽団の弦楽器の音色は、優しくて美しくて。
 おチャイコさんって、こんなに温かくて優しい曲だったんだなぁ、と初めて気づかされるような演奏でした。

 今月は、下野竜也さん×ブルターニュ管弦楽団の演奏会から始まった、コンサート&舞台強化月間だったんですけれど。
 西本さんとロシア交響楽団のおチャイコさんで、最高の形で終えたように思います。
 そして今夜のコンサート。
 終わってからも、体に残っている音を思い出すだけでまた泣いてしまうくらい。
 もう、今夜はおチャイコさん以外聴きたくない!と思うくらい、深い感動を覚えました。素晴らしかったです。
 こうして感想書きながら考えていたんですが。
 今日聴いた曲って、今月の私の心理状態の変化にピタリとシンクロしていたように思うのです。喜怒哀楽が激しくて(あ、怒はないか;)、入れ替わり立ち代り、どれもこれもかなり高いレベルで襲い掛かってきて。特に、この2~3日は本当にいろいろありましたから(笑)。
 でも、今日の演奏を聴いて。
 おチャイコさんに
「生きてたら本当にいろんなことあるよな。楽しいことばかりじゃなくて、嫌なことも、やらなあかんことも多いよな。でも、生きていかなあかんよな。頑張ろうな」
 と語りかけられたような。
 励まされて、元気づけられて、癒されて、「よしよし」と頭を撫でられたような気持ちになりました。

 素晴らしい演奏を聴かせていただいた、西本智実さんとロシア交響楽団の皆様と。
 こんな素晴らしい曲を遺して下さったおチャイコさんと。
 未完成交響曲を復元し、演奏するという場に立ち合うことができた、というこの巡り合わせに。
 深く感謝いたします。
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結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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