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 熊川哲也さんのバレエを初めて見たのは、10年ほど前のことでした。
 毎年大晦日の夜に、カウントダウンに合わせて開かれる「東急ジルベスター・コンサート」。そのコンサートが開催されるようになって間もない頃だったと思います。
 大晦日の夜、たまたまその番組を見ていたら、ラヴェルの「ボレロ」がカウントダウンに合わせて流れていて。その「ボレロ」で踊っていたのが、熊川さんでした。
 それ以来、いつか生で舞台を見てみたい、と思いつつなかなか叶わなかったのですが、やっと、観に行く機会を得ることができました。

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熊川哲也 Kバレエカンパニー
 2006 SPRING TOUR「ジゼル」

ジゼル:ヴィヴィアナ・デュランテ
アルブレヒト:熊川哲也
ヒラリオン:スチュアート・キャシディ

第1幕
 6人の村人たちの踊り
  長田佳世/輪島拓也
  神戸里奈/小林絹恵
  ピョートル・コプカ/アレクサンダー・コーウィー
 ジゼルの母親ベルト:ロザリン・エア
 クールランド公爵:ギャビン・フィッツパトリック
 公爵の娘バチルド:天野裕子
 アルブレヒトの従者、ウィルフリード:エロール・ピックフォード

第2幕
 ウィリの女王ミルタ:松岡梨絵
 モイナ:長田佳世
 ズルマ:柴田有紀

村人たち、狩の一行、ウィリたち
 K-BALLRT COMPANY ARTISTS

芸術監督、演出、再振付:熊川哲也
原振付:マリウス・プティパ(ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー版による)
音楽:アドルフ・アダン
舞台美術、衣装:ピーター・ファーマー
照明:足立恒
音楽監督、指揮:磯部省吾
演奏:Kバレエ シアターオーケストラ

倉敷市民会館 大ホール 18:30~
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 身分違いの恋。
 純粋に愛するが故の狂乱。
 悲しい結末。
 愛するが故についた嘘が悲劇を招く。
 簡単に言うならば、そんなストーリーが描かれるバレエです。
 「ジゼル」のあらすじは知っていましたが、この日は敢えて、細かいストーリーは読まずに、舞台から感じ取れることだけに専念しました。

 第1幕の舞台は、暖かい陽射しが降り注ぐ森の中です。
 舞台下手側にはジゼルの家、上手側にはアルブレヒトの別荘が配置されていました。舞台装置に描かれている木々の色合いも柔らかくて、奥行きが広く感じられるセットでした。
 ジゼルや村人たちの衣装も、エンジ色に近い赤やオレンジ、黄色といった暖色系で、柔らかい微妙な色合いでした。
 第1幕で描かれるのは、王子という身分を隠しているアルブレヒトと、ジゼルの出会い。恋に落ちる二人。そこへ現れる、ジゼルに想いを寄せるライバルや、アルブレヒトの婚約者。真実を知って、狂乱するジゼル。そして、哀しい結末。
 トータルすると1時間くらいだったのですが、その時間を全く感じないほど、一気に駆け抜けていくように思いました。

 ヴィヴィアナ・デュランテさんが演じるジゼルは、とても純粋で無垢で、無邪気さも併せ持っている可憐な少女、という感じでとてもステキでした。
 熊川さんが演じるアルブレヒトも、身分は隠しているけれど、隠しきれない気品や優雅さが滲み出ていて、美しかったです。彼がステージに登場しただけで、歓声と拍手が上がるのは納得です。

 私はバレエに関しては詳しいわけではなくて。
 踊っておられるのを見ても、ポジションやポーズの名前すらわからない、というド素人です。けれど、ヴィヴィアナ・デュランテさんの体重を感じさせない、羽根のような動き。それを支える熊川さんの動き。二人揃って踊る時に、完全にシンクロしている様子など、見入ってしまいました。
 群舞も、6人の村人による踊りも。
 簡単に踊っているように見えますが、実はとんでもなく難しいことをやっているんだろう、と想像致しました。

 哀しい結末を迎える第1幕に続いて、第2幕。
 暖かく明るい陽光に包まれていた森は、一転して暗闇の世界です。暗闇の中に登場するのは、ウィリたち。確か、処女のまま亡くなった少女の霊のことだったと記憶しています。
 緑色の細い蔓が巻き付いているような、真っ白い衣装に身を包んだウィリたちが10人以上、一糸乱れず踊る様子は圧巻でした。素晴らしかったです。
 第1幕が暖色系の衣装で、セットや照明も暖かい感じでしたので、この第2幕の様子が一層寒々しく感じられました。
 ウィリの女王ミルタを中心に踊るウィリの中に、ジゼルが仲間入りしてきます。
 そのジゼルを弔う為にやってくるアルブレヒト。自分がジゼルを死なせたのだと苦悩する様子を見て、慰めようとするジゼル。最初はすれ違っていた二人の踊りが次第に揃い、ついにアルブレヒトがジゼルに触れて支えた瞬間には、思わず涙してしまいました。
 もう一度ジゼルに会えた、とアルブレヒトがソロで踊る場面では、熊川さんの本領発揮!と言わんばかりの見事な踊りを堪能することができました。あのジャンプの高さ、滞空時間の長さ。テレビでは何度も拝見していますが、実際に生で見ると本当に感激&感動!でした。
 一夜限りの、哀しくも美しい逢瀬が夜明けと共に終わり、幕が下りた時。周囲の拍手や歓声でやっと我に返るという状態で、見入ってしまっていました。

 幕が下りてからも、しばらく会場の拍手が鳴り止まなくて。
 何度もカテコで出てきていただいて、最後には総立ちのスタンディング・オベーションでした。私も一緒に立ち上がって、手が痛くなるくらい拍手してました。
 「ジゼル」を生で鑑賞したのは初めてでしたが、初・生「ジゼル」が熊川さんのバレエで良かった!と心から思いました。

 衣装にも舞台装置にも、細部に至るまでこだわりが見られたこのバレエ。
 音楽も、生のオーケストラによって演奏されていました。日によってダンサーのコンディションも違いますし、コンディションが違えば、ステップを踏むタイミングやジャンプの滞空時間などなど、毎日変化することを思いますと。ダンサーが最高の状態で踊れるように、柔軟に対応できる生のオーケストラが必要だということも、納得です。
 私が鑑賞したのは上手側にある前のブロックの最後列でして。上手側にはちょうど打楽器がオケピの中で位置していたらしく、とても迫力がありました。
 やはり何日も公演があるツアーで回っているということで、疲れもあるのかもしれません。所々「頑張って!」と思う小さな事故が起きていましたが、第1幕では、純粋で清らかな心で恋に落ちるジゼルを表すような、コンサートマスターによるヴァイオリンのソロが。第2幕ではヴィオラのソロが、ウィリとなって生前の輝きと華やかさを失った様子が音楽からも感じ取れるようで。でも、どちらも美しい音色で、ステージ上のダンサーたちの踊りを堪能しつつ、聴き入ってしまいました。

 初めて生で拝見する熊川さんのバレエ、本当に素晴らしかったです。
 哀しく美しい、情熱的な「ジゼル」を堪能させていただきました。

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結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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