2006 / 03
≪ 2006 / 02   - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 -  2006 / 04 ≫

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 去年の後半から、この方のお名前を拝見し、その演奏を耳にする機会が増えたように思います。
 というワケで、今夜はNHK-FMの「ベスト・オブ・クラシック」でマリス・ヤンソンス指揮による、ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団を聴きました。

----------------------------------------

ベストオブクラシック
-プロムス2005-
   マリス・ヤンソンス指揮
      ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団演奏会ほか

マーラー作曲「交響曲 第6番 イ短調“悲劇的”」
        管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団
         指揮:マリス・ヤンソンス

ラヴェル作曲「道化師の朝の歌」
        管弦楽:ロンドン交響楽団
         指揮:ベルナルト・ハイティンク

----------------------------------------

 去年、数年ぶりにクラシック熱が再発してからというもの。マーラーを聴く機会が増えました。それまでは、「長いし、何だかよくわからない」という理由で、食わず嫌いな作曲家だったんです、マーラーさん。
 でも、去年から積極的にマーラーを聴くようになったのは……それなりに年齢を重ねて、忍耐力がついたからでしょうか(笑)

 今夜聴いた、交響曲第6番「悲劇的」も、演奏時間は1時間20分を越える長大な曲です。1楽章につき、平均20分。長いですね(笑)
 でも、聴いていると「あ、ここ面白いな」と思う部分が徐々に増えてきて、何度か聴いているうちに「そこ♪ そこ♪ 好き好き♪」と思う部分も増えてきて。楽しくなってきました。
 嫌よ嫌よも好きのうち、なのか。
 それとも、慣れてきて気持ち良くなってきたのか(笑)

 これが悲劇の幕開けですよ!と語りかけてくるかのような、激しい始まり方をする第1楽章。そのまま進んでいくのかと思うと、かわいらしかったり、優美だったりする場面が出てきて、ちょっと「あら?」と思ってしまいます。

 マーラーさんの曲がどこか。生と死とか、光と影とか、聖と俗とか。
 天使が微笑んでいるかと思えば、悪魔がニヤリと笑っていたり、とか。
 相反するものが共存していて、場面によって見せる顔が違うような気がするのは。整然としているかと思えば、気まぐれに表情を変えるような。そんな曲の展開から感じるのかも。

 なんてことを、聴きながら思いました。

 そういえば、この交響曲第6番。
 打楽器の種類もすごく多いんですよね。グロッケンとかシロフォンとか、タムタム(銅鑼ですね)とか、鞭まで入ってて。
 今夜はラジオで音だけ鑑賞しましたが、生で聴くときは打楽器に注目して聴いてしまいそうです。

 曲の最後も、華々しく終わるのかと思ったら、音が小さくなっていって。ということは、消えるように終わるの?と思ったら、止めを刺すかのような大音量が鳴り響いて、ビクッ!となってしまいました。

 マリス・ヤンソンス指揮のロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団。
 今年の11月下旬に、私の地元でコンサートが行われるんですよね。
 でも、コンサートの前日は聖響/モーツァルトシリーズの締めくくり、最後の交響曲3曲を聴きに大阪で。
 コンサート当日は、通っている専門学校の中期期末テスト初日である確率100%。
 だけど曲目は大好きな曲のオンパレード(血涙)
 前もってしっかり勉強して、2日連続コンサートに行くか。諦めるか。
 あと半年の間、悩もうと思います。

スポンサーサイト

 今夜のNHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」は、イギリスで毎年夏に行われている音楽祭、プロムスの2005年公演より、ロジャー・ノリントン指揮によるBBC交響楽団の演奏会でした。
 FM放送をつけて、聞き流す程度に聴いていたのですけれど、なかなか面白い演奏でしたので、感想など。

------------------------------------

プロムス2005
 ~ロジャー・ノリントン指揮 BBC交響楽団演奏会から

メンデルスゾーン作曲 「バイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」
 バイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン

ティペット作曲 「オラトリオ“われらの時代の子”」
 ソプラノ:インドラ・トマス
 メゾ・ソプラノ:クリスティーヌ・ライス
 テノール:イアン・ボストリッジ
 バス:ウィラード・ホワイト
 合唱:BBCシンフォニー・コーラス

管弦楽:BBC交響楽団
指揮:ロジャー・ノリントン

------------------------------------

 最初に流れたのは、最も有名なヴァイオリン協奏曲、メンコンことメンデルスゾーン作曲のヴァイオリン協奏曲でした。
 第1楽章から第3楽章までノン・ストップで演奏されるこの曲。
 部分部分でテンポに緩急をつけて、すごくメリハリのある演奏になっていました。例えば、第1楽章の最初の方はほどよいテンポで、でもヴァイオリンのカデンツァの後でテンポが上がって、最後の方はかっ飛ばす勢いになっていました。
 解説によれば、独奏ヴァイオリンのジャニーヌ・ヤンセンさんはまだお若いそうで。その若さを前面に出した演奏、ということだったのかなぁ、と思います。第1楽章のカデンツァも、凄く飛ばして弾いておられました。ただ、ヴィブラートがちょっとくどい……と言いますか、ヴィブラートで響かせる時の音程の揺れが大きいので、聴いていてちょっと辛かったです。あまり音程を揺らさずにヴィブラートをかけてくれた方が、好みかなぁ、と思いました。

 続く、ティペット作曲のオラトリオは、初めて耳にする作曲家で、初めて耳にする曲でした。
 曲が作られる経緯や、歌われている内容など、解説の方が説明して下さったのですが、さすがに全部覚えきれるわけもなく(汗;)
 ただ、抑圧されている民族の悲劇や絶望感が歌われているんだろう、ということは、曲を聴いていて感じました。
 歌詞も、どうやら英語で書かれているらしく。時々、聴いたことのある単語が出てきていました。が、日常会話もまともにできない語学レベルですので、内容は理解できず……(汗;)
 クラシックの中では現代に近いためでしょうか。また、オラトリオということで全体的に劇的な作りになっているためでしょうか。どこか、ミュージカルを思わせる部分もありました。
 また、黒人霊歌が数曲使われているとのことで、時々、聴き覚えのあるメロディが出てきていました。

 ここ最近、ベートーヴェンやブラームスを中心に、時々おチャイコさんを聴く、という生活だったためでしょうか。
 たまには、こういう比較的新しい曲を聴くのも、面白くていいかもしれないなぁ。
 と思いました。

▼続きを読む▼


 今日は、午後からNHK-FMで放送された「FMシンフォニーコンサート」を聴きました。

---------------------------------------------

FMシンフォニーコンサート
-大阪フィルハーモニー交響楽団・京都特別演奏会から-

ウェーバー作曲 「歌劇“魔弾の射手”序曲」
ドヴォルザーク作曲 「交響曲 第9番“新世界から”」

管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也
収録:京都市・京都コンサートホール

---------------------------------------------

 18日に開かれた「聖響の座談会 第1回」から1週間。
 下野さんの指揮による「新世界から」がFMで流れる、ということで、楽しみにしておりました。
 24日のコンサートで、彼の盟友・金聖響さん指揮で体感したベートーヴェンの興奮から未だ醒めぬまま……ではありましたが、これだけは聴いておかねば!ということで、エア・チェックしました。

 綺麗なホルンのアンサンブルから始まる、「歌劇“魔弾の射手”序曲」
 細かい動きとか、弦楽器の響かせ方など、とても丁寧に演奏しているような印象を受けました。
 聴きながらつい、18日に拝見した、きっちりと音楽の流れを作り出していくような指揮を思い浮かべてしまいました。あの小さなお体をいっぱいに使って、大きな指揮をなさっているんだろうなぁ、と。
 最後の方、“魔弾の射手”序曲といえばこれ、という、よく耳にするメロディが流れて。終止音をたっぷりと鳴らして音を断ち切る演奏には、「これが楽しいコンサートの幕開けですよ」と語りかけてくるように思えました。

 ドヴォルザークの「新世界から」は、寂しげな感じを受ける静かな出だしから一転、弦楽器のユニゾンとティンパニの強打が、ガーンと響いてきました。 
 第1楽章のテンポは速め。
 曲は短調なのですけれど、暗くなりすぎることもなく、大らかで明るい響きのように感じました。そして第1楽章のラストは、最後まで突っ走る感じを受けました。
 そんな第1楽章から、有名なメロディが流れる第2楽章。少し長めに間を取っていたように思えました。
 イングリッシュ・ホルンのメロディがとても有名な第2楽章も、テンポは気持ち速め。しっとりと歌い上げているものの、感傷に浸りすぎることはなく、ほどよい印象でした。
 この第2楽章。有名なメロディを聴いて泣くことは多いのですが、今日の演奏では、弦楽器がヴィブラートをたっぷりかけてジワジワと迫ってくるメロディの後、フルートやクラリネットが軽やかなメロディを描き出す辺りで、ボロボロ泣けてきてしまいました。楽章の終わり頃に流れる弦楽器のメロディも凄く綺麗で、気持ちよく泣かせていただきました。
 激しい曲調から始まる第3楽章。冒頭のトライアングルのトレモロ、凄く粒が細かくて、少し高めの音が好きだなぁ、と思いました。この楽章では少しテンポを落として、丁寧に音の粒を揃えて演奏しているように感じました。やはり、18日。モーツァルトの交響曲第39番の冒頭部分をきっちり、細かく丁寧に振っていたお姿が浮かんでしまいました。
 そんな第3楽章からあまり間を置かずに突入した第4楽章。
 テンポ、速いっ!!
 新年に聴いた、金聖響さん指揮の「新世界から」とどっちが!?と思うほど、テンポ速かったです。畳み掛けるような、ドラマティックな展開に、つい没頭して聴いてしまいました。
 この楽章で、全曲を通じてたった一度だけ鳴らされる(それも、華々しく鳴らすのではなく、地味~に;)シンバルも、ラジオといえども綺麗に聴こえてきて、嬉しゅうございました。
 ホールで聴いているわけでもないのに、「え? もう終わるの?」と思ってしまうほど、集中して聴いてしまいました。
 テンポが速くて、突き抜けてしまうような演奏だったので、余計にそう感じたのかもしれません。
 素晴らしいです、下野さん!

 そういえば、今年の10月。
 兵庫県立芸術文化センターで行われる、PACの定期演奏会。下野さんがこの「新世界から」を振るんですよね。
 いいなぁ、聴きたいです。
 チケット取れるかなぁ?

▼続きを読む▼


COO109回定期

 オーケストラ・アンサンブル金沢との演奏でCDリリースされている『運命』を聴いて、衝撃を受けるととともに金聖響という指揮者のファンになったのが、去年の5月1日。
 それから10ヶ月と24日を経て、ようやく生で聴く機会を得ました。
 今日のコンサート、いろいろな意味で「ありえへん!」と思うコンサートでした。
 いつも以上に思い入れ過多で、読みづらい点があるかと思います。が、それほどの感動と衝撃を受けたのだ、とご理解いただけましたら幸いです。

---------------------------------------

大阪センチュリー交響楽団
第109回定期演奏会

ベートーヴェン作曲
バレエ音楽「プロメテウスの創造物」より「序曲」
交響曲第6番 ヘ長調 「田園」
交響曲第5番 ハ短調 「運命」

指揮:金聖響
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団

ザ・シンフォニーホール 19:00~

---------------------------------------

 今回の定期演奏会は、金聖響さんが3年間務めてきた、大阪センチュリー交響楽団の専任指揮者として最後の定期演奏会でした。
 曲目も、ベートーヴェンの名曲中の名曲、『運命』と『田園』という2本立て+『プロメテウスの創造物 序曲』
 彼が大阪センチュリー交響楽団と3年間取り組んできた、ピリオド・アプローチによる演奏の集大成、と言っても過言ではないプログラムです。
 私にとっては、去年8月に初めて聖響さんのコンサートを生で聴いた時と、3曲中2曲が同じプログラムでした。が、音は全く違っているだろう、との期待を胸に、ホールへ向かいました。

 去年は「うわー、聖響さんが出てきたー。目の前で振ってる~♪」と思っているうちに、気が付いたら曲が終わっていた、という滝汗モノの『プロメテウスの創造物』
 今日はしっかり聴くぞ、と構えて行ったのですが……。
 ステージに颯爽と登場した聖響さんは、いつものスタンドカラーの黒スーツではなく、燕尾服。
 夜の公演だからなのか?
 専任指揮者として最後の定演だからなのか?
 燕尾服……。
 滅多に拝見できないお姿にノックアウトされたことに加え、この後に演奏された『田園』の素晴らしさに、結局この曲の印象は飛んでしまいました(汗;)
 この曲は文字通り、今日の演奏会の「序曲」だったんだと思います。

 続いて、大阪センチュリー交響楽団の楽員ブログで「春を意識した田園」と紹介された、交響曲第6番『田園』
 誰もが一度は耳にしたことのある、有名な冒頭のメロディ。
 ラシ♭レ・ドーシ♭ラソ・ド・ファーソーラーシ♭ラソー♪
 ホールに流れた瞬間から、爽やかな春の風が吹きぬけたように感じました。
 夏に聴いた時は、一面に広がる青々とした草がそよ風に揺れるような印象でしたが、今日の第1楽章は、まるでお花畑。見渡す限りの菜の花畑、それも黄色い花が満開の菜の花畑に蝶々がヒラヒラと舞うような。
 カラッとしていて、明るくて。強くもなく、弱くもない、暖かな陽光が降り注ぐような光景が、目の前のオーケストラに、指揮台で音を拾い上げていく聖響さんの姿に重なって見えました。
 第2楽章では、そよ風に揺れる水面に小舟を浮かべて、風が木々を揺らす音や、水の流れを感じるような心地よいひと時が連想されました。
 第3楽章は、陽射しが暖かさを増し、風も冬に吹きすさぶような冷たいものではなくてどこか暖かくなって。花が咲いて、あちこちから春の便りが届くようになって。そんな春の訪れを喜ぶような、心躍る様子が。
 第4楽章では、「春の嵐」というよりも「春一番」という印象を受けました。夏に聴いた時は、まさに「台風」で音の嵐が襲い掛かってくるように思えたのですけれど。今日の演奏は、そこまでの湿度も熱気も感じられなくて。時々雨も混ざるのですが、あまり冷たさを感じないような雨だなぁ、と感じていました。
 そして、嵐が去って雲の切れ間から光が差し込んでくる第5楽章。
 再び暖かい春の陽射しに満ちていて、曲を聴いていてステージにライトが新たに追加されたのか、と思うような明るさを感じました。
 曲のクライマックス。ヴァイオリンとヴィオラが細かい音符を刻み、管楽器が和音を長く伸ばし、チェロとコントラバスが上へ上へ、と昇っていくようなメロディを奏でる部分。そこを聴いていて、目の前に満開の桜並木が重なって見えました。何故そう思ったのかはわかりませんが、ただ。そこを聴いた瞬間に、閃きのように思ったのです。
 「うわぁ、桜が満開だ」
 と。
 同時に、感極まって涙が出てきました。
 曲の最後の最後まで、とても暖かくて、けれど爽やかで明るい音に包みこまれたような気がしました。
 どこかカラッとした印象を受けたのは恐らく、長く伸ばす音を気持ち短めに切っていたことや、ヴィブラートをかけないために音程や音量に揺れがないことも関係しているのかなぁ、と。聴きながらぼんやりと思っていました。
 また、第2楽章のヴィオラとチェロのメロディ。とても綺麗でした。
 あとは、管楽器がメロディやアクセントになる動きを演奏するときに、弦楽器の音量を少し落としてそれを浮き上がらせていたことなど、聴いていて印象に残りました。

 と、『田園』は感動を覚えながらもまだ、細かく聴くだけの余裕がありました。
 普通に演奏したら40分ほどの交響曲ですが、その長さを全く感じないほど、密度が濃い演奏でした。
 指揮をする聖響さんも、譜面台に置かれているスコアを見ることも、ページをめくることもなく。左手を手すりに置くこともなく。指揮棒を譜面台に当てる音が時折聞こえてきましたが、ただひたすら、音を拾い上げて紡ぎ出していくことに専念していたように思います。

 でも、同時に思ったのです。
 『田園』でこれだけ感動するのだから、休憩後の『運命』はどうなるんだろう?と。
 聴くのが楽しみでもあり、怖くもありました。

 そして、休憩後に聴いた『運命』は。
 冒頭の「ソソソミ♭ー ファファファレーー♪」から、ほぼ楽譜通りのテンポ(二分音符=108)
 フェルマータ、ありました?と思うほど短い二分音符。
 運命の荒波どころではない、大津波がステージから押し寄せてきました。
 それに押し流されないように、ついていくのに必死でした。演奏している楽団員さんたちも、大変だったと思います。終わった後、弦楽器の弓がかなり切れていましたから。
 聴いている最中は、あのアーティキュレーションが……とか、ここの音が……とか。かなり細かく聴いていたんだと思うのです。いろいろな工夫がされているな、と感じましたので。
 けれど。
 終わった後はただ呆然としていて、周りが拍手する音を聞いてやっと「ああ、曲が終わったんだな」と心ここにあらず、といった状態で拍手をする、という状況でした。
 だって、あの第4楽章。
 あのテンポは、Allegroどころではない、Prestoの領域ではなかったか、と思います。
 ありえへん、と思うほどの快速テンポでの演奏を可能にした大阪センチュリー交響楽団の皆様、本当に素晴らしいと思います。

 そして、指揮台にいる金聖響さん。
 もう、一瞬たりとも彼から目が離せないんです。私が彼のファンであるがゆえに、余計にそう思えたのかもしれません。
 指揮台から落ちるのではないか、と思うほど、前にも後ろにも横にも大きく動く様子。
 指揮棒が何度も髪をかすめ、スピーディに振り下ろされる右手。
 時に優雅に音の流れを作り出し、時に抑制し、時に煽り立てるような、雄弁な左手。この曲も、『田園』と同様に全く楽譜を見ずに振っておられましたので、楽譜をめくらない分、指揮に専念していたように思いました。
 いつになく大きな指揮であるがゆえに、1階席下手側中央よりの席に座っていた私にも、第1ヴァイオリンへと振り向いた表情はよく見えました。そのお顔は、無邪気な子供のような、気持ち良さそうな超笑顔。今指揮台にいることが、この曲を振っていることが、楽しくて楽しくて仕方ない、といったように思えました。
 指揮台を中心にして、ステージが異空間であるかのような感覚でした。彼の周囲だけ、余分にライトが当たっているかのような圧倒的な存在感。他を見る余裕もないほどに吸引力のある指揮。
 髪を振り乱しながら、形振り構わず、といった様子で指揮をする姿に、ベートーヴェンが降臨しているかのような印象を受けました。
 聴こえてくる音も、彼の指揮も、その指揮に必死で食らいついていくかのような大阪センチュリー交響楽団の楽団員さんも。
 何もかもにただ圧倒されて、振り回されて、かき回されて。
 終わった後はただ呆然と
 「今、目の前で何が起きたんだろう? 私が聴いたのは、何? あれ、確かに『運命』だったよね? でも、こんな『運命』は初めて聴いた!」
 一言目に「凄い」
 二言目には「ありえへん」
 そんな言葉が、ただ頭の中を回るような、「衝撃」としか言いようのない『運命』でした。
 最初から最後まで、一気に駆け抜けたような。数十分の時間が、瞬きするほどの「一瞬」に感じられるほど凝縮されたひと時だったように思います。
 後ろにいたオジサマやオバサマ方も、ただ「凄い」と「この人、凄い」と、口にしていました。

 聴こえてくる音は、確かに『運命』でした。
 けれど、今までに聴いた『運命』とは何もかもが違っていました。
 彼が2004年にリリースした『運命』とも、全く違う『運命』でした。
 振っている聖響さんも、もの凄く高揚していたのではないかと思います。言い方は悪いですが、イッちゃう、くらいの勢いだったのではないか、と。
 まさに、金聖響のベートーヴェン交響曲第5番。他の指揮者では到達できない『運命』だったと。この『運命』を越える『運命』はきっと、彼自身の指揮による演奏でしか聴くことができないと思います。

 あのテンポ、あの演奏。
 彼と大阪センチュリー交響楽団が3年間積み重ねてきたものがあったからこそ、生まれたんだろう、と。その過程を聞いたわけではありませんが、そのように感じました。
 本当に、一生忘れられない、もの凄い演奏を聴かせていただきました。
 あの演奏が生まれた場に居合わせることができたこと。心からの喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
 ベートーヴェンという作曲家の素晴らしさを、『運命』の凄さを。あのように再現することで再認識させて下さった、金聖響さんと大阪センチュリー交響楽団の皆様に、深く感謝致します。

▼続きを読む▼


 今日は、倉敷音楽祭の最終日ということで、毎年恒例で開かれる祝祭管弦楽団の演奏会に行ってきました。

-------------------------------------

第20回倉敷音楽祭
 祝祭管弦楽団 オーケストラ演奏会

ハイドン作曲
オラトリオ「四季」

指揮&チェンバロ:井上道義
ソプラノ:横山美奈
テノール:小林一男
バス:久保田真澄
ゲスト・コンサートマスター:徳永二男
管弦楽:倉敷音楽祭 祝祭管弦楽団
合唱:第20回 倉敷音楽祭 祝祭合唱団

-------------------------------------

 今年は20回という記念の年ということもあって、オーディションによって選ばれた市民合唱団を加えての演奏会でした。
 思い返せば10年前。10回記念の時にも、やはり市民合唱団が結成されて、朝比奈隆さんの指揮によって第九が演奏されたんですよね。カップリングは、モーツァルトの交響曲32番か31番だったような気がします。 
 あれから、もう10年経ったんだなぁ。と思うと、早いような遅いような……。

 今年はハイドンのオラトリオ「四季」を日本語で歌う、という演奏会でした。
 ゲスト・コンサートマスターには、徳永二男さん。以前、お兄さんの兼一郎さんがご存命の頃に倉敷音楽祭に何年か参加して下さったことがあるので、これでご兄弟揃って音楽祭に参加したことになるんだなぁ、と。ずっと通い続けているファンとしてましては、感慨深いものがありました。

 今日はハイドン作曲のオラトリオだからでしょうか。オーケストラが古典配置になっていました。
 真ん中にチェンバロがあって、指揮台はなし。舞台下手側から第1ヴァイオリン(5人)、チェロ(3人)、ヴィオラ(4人)、第2ヴァイオリン(6人)という配置で、コントラバス(2人)は第1ヴァイオリンの後ろ。ティンパニと打楽器は第2ヴァイオリン~ヴィオラの後ろ。ホルンはチェロの後方にいました。
 そして、オケの後ろには約70名の市民合唱団。この合唱団も、下手側にソプラノ、真ん中にバスとテノール、上手側にアルト、という配置になっていました。
 去年はロシア物だったためか、オーケストラの配置はドイツ式でしたので、曲に合わせているのかなぁ、と思っておりました。

 また、今年は衣装もいつもの年とは一味違っていました。いつもなら、女性は色とりどりのドレス姿で登場するのですが、今年はオーケストラは男性はタキシード、女性は黒のドレス。
 市民合唱団の皆さんは私服。
 ソプラノのソリストは春を思わせる華やかなドレスで、バスとテノールのソリストはスーツにシャツにアスコット・タイ。
 で、井上さんはと言いますと……。某指揮者さま曰く、燕尾服のジャケットの裏側がミッキーマウス柄だった、なんてこともある方ですので、注目だなぁ。と思っておりましたら、なんと麻のベージュのソフトスーツでした。変わった色のネクタイをしているなぁ、と思っていましたら、なんと、ミッキーマウスの柄でした(笑) さすが‘ミッキー’と呼ばれている方だなぁ、と(笑)

 曲の方は、パパ・ハイドンのオラトリオです。
 途中、交響曲の「時計」を思わせるようなメロディが出てきたりして、面白い曲でした。
 が、そんなこんなも全て、井上さんの指揮が強烈に面白くて、吹き飛んでしまったように思います。そう、ハイドンのオラトリオだというのに、何故か大ウケ(笑)
 両手を下ろして、表情だけで振る場面あり。
 変わった指揮をするなぁ?と思っていたら、バスが「畑を耕す~♪」と歌って。ああ、畑を耕してたのね、その指揮は(笑) なんて場面あり。
 魚が泳げば手で魚が泳ぐさまを表現し、小鳥が羽ばたけばその羽ばたきを表現し。
 「見渡す~♪」と歌えば、左手を横にして額に当ててステージを見渡し。
 人差し指を立ててこめかみに当てて、右手でティンパニにキュー出しした瞬間に、「鉄砲ズドーン♪」。
 小枝が揺れたら、チェンバロを弾く体も揺れてました。
 まさに全身で音楽を、歌詞を表現する指揮に、笑わずにいられましょうか(笑)
 面白すぎです、井上さん(笑)
 合唱やオケの皆さん、よく笑わずに演奏&歌えるなぁ、と思っていたのですが……練習の間に慣れたのか、あるいは演奏に集中していたのか……。
 歌いながら振っておられた井上さんの声も、時折聞こえて参りました。

 去年も、ストラヴィンスキーの「兵士の物語」や、シュニトケ作曲の「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」で大爆笑させていただきましたが。
 まさか、ハイドンのオラトリオで爆笑することになろうとは(笑) さすが、井上さんです。
 そういえば、第1部「春」が終わったら、クルッと客席を向いて「春が終わりました」。
 第2部「夏」が終わったら、「夏休みです」と休憩時間に突入。
 休憩が終わったらちょっとお話をされて、「話に飽きる前に秋に」と第3部「秋」に突入、と小ネタ&ダジャレで楽しませてくださいました。
 でも、さすがに「秋」の後の「冬」は。豊作と葡萄酒の宴で歌い踊る、明るく華やかな第31番から一転して、厳しく暗い冬を象徴するような第32番に入るということで、井上さんは何も仰らずに、少し長めに間を取っていました。

 オーケストラの演奏は、古典配置になっていることもあって、ヴァイオリンの掛け合いが左右から聞こえてきたり、同じ動きをする部分ではステレオ効果で聞こえてきたり。
 ゲスト・コンサートマスターの徳永さんの音が綺麗に抜けてきたり(悪い意味ではなく、いい意味で目立っていたのです)
 合唱とオーケストラがフルで鳴って、ピタッと止んだ時。フワッとホールに残響が溶けて、心地よかったです。

 曲が終わった後は、鳴り止まない拍手に応えて
井上さん:「春はもう来ています」
 ということで、第1部「春」の中からちょっとだけ、もう一度演奏してくださいました。

 去年も素晴らしい演奏&大爆笑で大満足、な演奏会でしたけれど。
 今年もまた、演奏も指揮も、楽しませていただきました。

 ただ残念だったのは、ちょっと空席が目立ったことです。
 せっかく徳永二男さんをゲスト・コンサートマスターに迎えているというのに。前日に開かれた室内楽のコンサートも、「それはありえへん!」と思う会場でしたし。
 今、クラシック・ブームということもあって、聴いてみたいと思う人はたくさんいると思うのです。宣伝の方法なども含めて、少しでも多くの人に演奏会を聴いてもらえるよう、検討する必要があるんではないかなぁ、と思いました。

▼続きを読む▼


聖響の座談会1

 指揮者の金聖響さんが、ゲストを迎えてトークをする、というイベント「聖響の座談会」
 記念すべき第1回目に行って参りました。
 爆裂トークで笑いすぎて、ついでに席も近かったのでかなり‘いっぱいいっぱい’で。せっかくお話してくださったあれやこれがぶっ飛んでしまったように思います(汗;)

 第1回目のゲストは、聖響さんの盟友で指揮者の下野竜也さん。
 登場シーンから笑わせて下さいました(笑) 下野さんがあんな登場の仕方をなさるということ、聖響さんもご存知なかったようですが……掴みはOK、ってトコでしょうか(笑)

 前半は、「お題トーク」ということで、お二人が交替で相手に3つの質問を相手に投げかけて、それに答える、という形で進められました。

 聖響さんから下野さんへの質問は
・「指揮者になっていなかったら?」
・「ちびっこたつ(幼稚園~小6)」
・「指揮者とは?」
 下野さんから聖響さんへの質問は
・「Debut」
・「Competition」
・「Wien」

 まずは、聖響さんから下野さんへの質問編。
 「指揮者になっていなかったら?」という質問に、下野さんは「学校の先生」と即答なさってました。教育学部をご卒業ということなので、納得のお答えでした。そういえば、暗記物、特に歴史系の暗記物が得意で、足利将軍とか徳川将軍とか、鎌倉時代に執権を務めた北条氏のお名前が全部言える(私、中学の社会&高校の地理・歴史の教員免許持ってますが、言えません;)、なんてお話も飛び出していたように記憶しています。その知識が役に立った、たった一度の出来事もお話して下さいましたが……オチャメさんです、下野さん(笑)
 
 「ちびっこたつ」という質問には、目立ちたがり屋だった、とのお答えでした。なるほど、目立ちたがり屋さんが指揮台に上がってさらに注目を浴びる、というわけでございますね♪ でも、通知表に「落ち着きがない」と書かれた、と仰る下野さんに、聖響さんも「自分も書かれた」って……(笑)

 「指揮者とは」という質問には「時間を預かる人」と答えておられました。コンサートに足を運ぶ観客はもちろんのこと、演奏をするオーケストラの本番&練習の時間も預かる、ちょっと大げさな言い方をすれば「時間を司る人」だと。その時間を預かる、という責任の重さも感じる、と仰っていました。
 そういえば以前、ホルストの「惑星」を聴いた時にこのブログでも書いたことがあるのですけれど。
 下野さんと聖響さんの誕生星座は山羊座。その守護星は土星で、守護神はクロノス。まさに、時間を司る神、なんですよね。
 お話を伺いながら、まさにその通りのことを仰っているなぁ、と思いました。

 下野さんから聖響さんへの質問は、全てアルファベット(笑)
 「Debut」という質問には、頭真っ白になってあまり覚えていない、とか。出てくるときにコントラバスに蹴つまづいた、とか(笑)
 日本デビューのコンサートは大変だった、とか。
 ここではとても書けませんわ(^_^;)なお話も含め、脱線しまくりで(って、どのお話もそうだったんですが;)、いろいろと拝聴することができました。

 「Competition」という質問には「胃が痛い話」と仰っていました、聖響さん。確かに、あちこちでコンクール秘話的なお話を耳にしますが、尋常ではない、ある意味極限状態に置かれるようですので……。下野さんも加わって、お二人が優勝したり、入賞したり、落選したり。いろいろあったんだなぁ、と思いながら聞かせていただきました。

 「Wien」という質問には、学生時代にはネガティブなイメージしかなかったけれど、最近そのイメージが変わって。自分の心の持ち方で、見え方が違っていた、と仰っていました。

 この他にも、間にぶっちゃけ爆笑トークの数々がありまして。前半だけでも笑いすぎて、涙出てくるし、リアクション大きくなるし、大変でした(笑)

 後半は、三輪郁さんと中原達彦さんによるピアノ連弾を加えて、実演しながら聖響さんと下野さんで曲の解説(一部、試行錯誤?)しながらのトークでした。
 冒頭で、中原さんが聖響さんに依頼されて即興で作った、という曲を披露してくださいました。「シーソーラーレー レーラーシーソー♪」と学校のチャイムの音から始まって、さまざまに展開される曲は、短かったですが面白く聞かせていただきました。
 曲の途中から、聖響さんがひょこっと顔を出して、扉に寄りかかって一聴衆と化しておられるのを拝見して、思わず顔が笑み崩れてしまいました(笑)

 後半で取り上げたのは、座談会が開かれた小ホールの上にある、浜離宮朝日ホールで5月に開かれる聖響×OEKの「EROICA」コンサートでも取り上げる、以下の2曲。
・ベートーヴェン作曲 交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
・モーツァルト作曲 交響曲第39番 変ホ長調

 まずは……といった様子で、いきなり聖響さんが手を振り上げて、鋭いブレスと共に右手を力強く振り下ろしました。ブレスの瞬間には、顔つきが変わって完全に‘本気モード’です。「ミ♭ソシ♭」の和音が力強く、鋭いタッチでピアノから鳴り響いて、「英雄」が流れ出しました。
 ピアノ連弾で聴くのは初めてでしたが、これはこれで面白いなぁ、と思いながら、体は音楽に合わせて揺れておりました(笑)
 第1楽章の初めの方を少し演奏して、曲を止めて、解説へ。
 こんなこともあろうかと、持参していたミニスコアを取り出して(←準備良すぎ?/笑)、こちらの聴く体勢もバッチリでございます。

 小澤征爾さんが、冒頭の「ミ♭ソシ♭」の和音2発、たった2小節を10通りも振り分けた、とか。(聖響さんが真似して2通りやってくださいました♪)
 その2発が決まっても、次の第2ヴァイオリン&ヴィオラが8分音符で刻む和音が決まらない、とか。スコアの1ページ目、6~8小節で2時間の指揮講座が終わってしまった、なんてお話をされていました。
 たった6小節。されど、6小節。
 それほど、指揮者にとって難しい曲(ベートーヴェンの第5番「運命」も難しい、とよくお聞きしますが…)なのだというお話に、頷きっぱなしでした。

 また、きっちりテンポで曲を進めてしまうと、65小節から出てくる第1ヴァイオリンの「タッタララッ タララッ タララッ」という動きが苦しくなるから、その前後からちょっとテンポを揺らして遅めにして、キチッとその動きがハマるように持っていく。というテンポの緩急(それがアゴーギグ、と仰ってました)をつける、というお話。
 実際に下野さんが全くテンポを揺らさずに振って、その違いを見せて下さったので、とてもわかりやすかったです。確かに、ちょっとテンポを揺らしていった方が、曲が自然に聞こえました。

 そして、去年11月に行った「聖響/ウィーン古典派」でも、振り方に注目して聴いていた、ヘミオラの部分。
 特に、128小節目から1拍置きに鳴らされる「ドミソシ♭」の6発和音。
 音が鳴る瞬間に振り下ろすか、休符の時に振り下ろすか(前者を‘オン’、後者を‘オフ’と称しておられました)の音の違いも、実演の中で感じることができました。
 「今度振る時はオフでやってみよう」
 と聖響さんが仰ってましたので、5月にコンサートに行かれる方は、注目して聴いてみるとよいかも、なのです♪

 「英雄」は、第1楽章の最初の方で時間終了、となってしまいまして。
 続きましてはモーツァルトです。
 こちらも、第1楽章の冒頭部分、ゆったりテンポの4拍子を細かく8つで振るか、大まかに4つで振るか。前者を下野さん、後者を聖響さんが演って下さいました。
 そして第2楽章の最後の方。主題がちょっと違った形で展開される「モーツァルトさんの中身がチョロッとはみ出したような」部分を「どう振ったらいいんだろう、と悩む」ということで、下野さんと試行錯誤しておられました。
 というのも、サラッと振るのがいいのか、力んで振るのがいいのか(って、その時の仕草がまるで演歌歌手/笑)、考えてしまうそうで。
 5月のコンサートには行けませんが、11月のモーツァルトシリーズ最終日は、その辺り注目して聴きたいと思います。

 最後は、会場からの質問コーナーでした。
 「好きな曲と嫌いな曲は?」という質問に、嫌いな曲はいっぱいある、と(笑) 好きな曲は、下野さんは第九、聖響さんはマーラーの9番を挙げていました。「これが最後の指揮です、と言われたら振りたい曲」も、同じ答えだったように記憶しています。
 「神様が降りてきたと思った演奏は?」という質問には、下野さんはやはり……と思いました、去年10月下旬に振ったモツレク。そして、以前8月に広島で振ったフォーレの「レクイエム」と、どちらも宗教曲を挙げていました。曲が持っている力、というのも影響するのかも……とのお言葉には、納得でした。そういえば、ベートーヴェンの「エグモント序曲」を振ったときに、亡くなられた巨匠に手を捕まれた、という経験をした。なんてお話も聞くことができました。
 聖響さんは、その質問に対して9・11事件の後に振った、ブラームスの交響曲第2番第2楽章、と答えておられました。なんでも、振りながら前腕が痺れたのだとか。下野さんも「祈りの曲だよね」と仰っていましたが、私も実際に聴いたり弾いたりして思いましたが、とても清らかで美しい、けれどどこか激しさを内包したような曲なんですよね、ブラームスの2番の2楽章って。
 あの曲なら、そういうことが起こっても不思議ではないかもしれない、と思いました。

 とまぁ、かいつまんでお話しするとこんな内容でございました。
 ぶっちゃけトークも満載、爆裂トークで大爆笑。
 ついでに突っ込みどころも満載で(時々マジ突っ込み入れてしまいました。大変失礼致しました/平謝り;)
 下野さんのユーモアたっぷりなお話も、聖響さんのノリノリなお話も、存分に楽しませていただきました。
 次の開催は未定、と仰っていましたが、ぜひぜひ、またやっていただきたいです!
 「聖響&たつの座談会」でどなたかゲストを……なお話会でも、大歓迎でございます。
 そして、録画していた映像をDVDで販売していただけると、ファンとしては大変嬉しゅうございます。聞きに行けなかった方も、見たいですよね?(←と、同意を求めてみたりして;)

 このような座談会を企画して、開いてくださったスタッフの皆様。
 ステキなピアノを聴かせてくださった、三輪さんと中原さん。
 そして、指揮を見せてくださって、楽しいトークをして下さった聖響さんと下野さん。
 開場を待っている時にお話させていただいた方、会場で声をかけてくださった方。
 皆様に、心から感謝致します。

▼続きを読む▼


 自分の出演するコンサートが終了したので、安心して聴き手に回ることができます(笑)
 というワケで、今日は倉敷音楽祭公演の一つであります、ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子さんの“夜間飛行”ツアーを聴いてきました。

-------------------------------------
第20回倉敷音楽祭
 寺井尚子“夜間飛行”ツアー2006

バードランド
ラ・クンパルシータ
バラのひとりごと
夜間飛行
レイジー・エンジェル
遠い国の歌

など

ヴァイオリン:寺井尚子
ピアノ:北島直樹
ギター:細野よしひこ
ウッド・ベース:成重幸紀
ドラム:中沢剛

倉敷市芸文館ホール 18:30~
-------------------------------------

 今日のコンサートは、2月にリリースされた最新アルバム「夜間飛行」の曲を中心に演奏されていました。そして、今年の寺井さんのツアー、今日が初日なのだとか。
 倉敷音楽祭が20回という記念の年に、倉敷でツアー初日を迎えることができて嬉しい、というMCが印象的でした。

 コンサートは、冒頭からウエザー・リポートの「バードランド」
 うわぁ、懐かしい! 久しぶりに聴いたっす、この曲!
 状態でした。
 当方、これでも大学時代はジャズ研究会の初代ドラム&パーカッションでして。バンド名が‘バードランド’。テーマ曲はもちろん、ウエザー・リポートの「バードランド」ということで、ライブで演奏する回数も多かったんですよね、この曲。
(って、合ってるよね?←誰に向かって聞いてるんだか/笑)
 あまり深く考えずに「一度聴いてみたいなぁ」と思って出かけたコンサートで、思わぬ曲が聴けて。冒頭からテンション上がりました。

 寺井さんのヴァイオリンは、もちろんバリテクでございます。しなやかに動く右手、軽やかに運指板を走る左手に、ついつい見入ってしまいます。また、演奏もノリノリで、アップテンポでノリのいい曲はステップを踏みながら弾いておられました。
 そして、顎当てにマイクをつけて音を拾って、スピーカーから出していたのですが、柔らかい音色で聴きやすかったです。マイクを通すと、高音がキーンと響くこともあるんですよね、ヴァイオリンって。今日はそれがなくて、安心して聴くことができました。

 曲はジャズですから、スタンダードナンバーから、オリジナル曲。
 タンゴやフレンチ・ポップスを思わせるようなオシャレな曲、アップテンポでちょっと変拍子が入った曲など、さまざまでした。
 さすがにアドリブも多彩で、聴きながらぐいぐい引き込まれて、体は曲に合わせて揺れまくりです(笑)
 ジャズのコンサートで私が特に好きなのは、掛け合いのソロです。楽器同士で音を通じて会話しているようで、好きなんですよね~♪
「私、こんな風に弾いてみるね。次、どうする?」
「じゃぁ、こうしてみようか」
「お、そうきたかぁ。じゃ、私は……」
 そんな会話が、音を通して聞こえてくるようで。聴いているのはもちろん、演るのも楽しいんですよね、こういう掛け合いでアドリブを弾くのって。今夜は、バリテクな方が勢揃いですからなお面白くて、存分に楽しませていただきました。

 そういえば、クラシック以外の音楽をガッツリと聴いたのは、本当に久しぶりなんですよね(笑) ヴァイオリンの音を、スピーカーを通して聴くのも、久しぶりでした。
 作曲家が楽譜という形で残した音を、いかに忠実に再現するか。というクラシックとは違って、ジャズはテーマとコードをベースにして、いかに自由に音楽を展開するか、ということに重点が置かれているので、クラシックとは違う楽しみ方があるなぁ、と。改めて感じました。
 そして、寺井さんのヴァイオリンは!
 スタイリッシュで、カッコよくて、しなやかで、オシャレで。
 ヴァイオリンって、こんなに自由で豊かな表現ができる楽器なんだなぁ、と。改めて実感しました。一緒に聴きに行った友人は、フィギュアスケートの荒川選手になぞらえて
「ヴァイオリンのイナバウアーだね」
と話してましたけど、本当に(笑)

 アンコールでは超アップテンポの「リベルタンゴ」も聴くことができて、楽しかったです。そういえばこの曲も、ヨーヨー・マさんのチェロなどでピアソラ・ブームが起きた時に弾いたんですよね。倉敷音楽祭の町並みコンサートで。
 あの時はピアノ&ヴァイオリンでしたが。今度はヴィオラを加えてトリオにしてリベンジしますか?なんて、話しながら帰りました。でも、トリオにして……ってことは、私が編曲しなきゃいけないのよね(汗;)

 今日、久しぶりにクラシック以外のジャンルの音楽を聴きに行って思ったのですけれど。
 クラシックのコンサートって、どうして皆さん、賞賛の言葉を贈るのに判を付いたように「ブラボー」なんでしょう?
 自分も、コンサートに行って、大興奮して歓声上げながら拍手することがありますが、「ブラボー」って言いづらくて、一度も言った事ないんですよね(苦笑)
 例えば、今日聴きに行ったジャズのように。「イエイ!」って叫んだり、口笛吹いたり……は周りから睨まれちゃうかもしれませんが、皆が皆「ブラボー」じゃなくてもいいんじゃないかなぁ、と。
 それに、例えば協奏曲のカデンツァとか。誰かが弾いたカデンツァじゃなくて、オリジナルのカデンツァを弾く人がもっといてもいいんじゃないか、と思うのですよね。あれだけのテクニックを皆さん持っておられるのですから。作曲者や楽譜が許す範囲内で、やってもいいと思うのです。
 でも、そういうことをすると、「奇をてらって…」とか、ヘンな批判を受けてしまうんだろうなぁ、なんてことも同時に考えたりして。
 クラシックも、もっと自由に音楽を楽しめる雰囲気があってもいいのになぁ。
 てなことにも思いを馳せてしまった、今日のコンサートでした。

 何はともあれ、今日のコンサートは本当に楽しかったです。
 あんな風にヴァイオリンが弾けたら、もっともっと気持ち良くなれるんだろうなぁ、と。楽器と一体となって、楽しそうに演奏する寺井さんを見ながら思いました。

 2月中旬から取り組んでおりました、ベートーヴェンの交響曲。
 倉敷音楽祭の町並みコンサート特別企画「ぶっつけ本番。スペシャル!」無事に終了しました。
 午前中に、友人たちと組んだアンサンブルで30分ステージをやりまして。それからお昼ごはんを食べて、会場になっているホールへ向かい、楽器の準備をしていたらあっという間に「スタンバイして下さい」と相成ってしまいました。

 コンサートの詳細は、以下の通りです。

-----------------------------------------
倉敷音楽祭第20回記念特別企画
「ぶっつけ本番。スペシャル!」

ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」
ぶっつけ本番。スペシャル!アンサンブル
 指揮:萩原勇一
ベートーヴェン/交響曲第7番
ブラームス/交響曲第2番より第2楽章
 指揮:齊城英樹
ブラームス/交響曲第1番より第4楽章
 指揮:萩原勇一

ゲストコンサートマスター:上野眞樹
ゲスト出演:影澤恵子

倉敷市芸文館ロビー 13:00~17:00
-----------------------------------------

 楽しみな気持ちもありましたが、不安も大きい中、会場で渡された参加者ガイドで自分の出演曲と座る場所を確認しました。
 それによると、ベートーヴェンの交響曲第5番、第7番オンリーになっておりました。ブラームスさんには大変申し訳ないのですが、正直ほっと致しました。
 主催者さまに「オーケストラ未経験です」とお伝えしていたためでしょうか。第2ヴァイオリンの後ろの方のプルトで、アウトサイド。楽譜はめくらなくていい場所にして下さっていました。
 また、メンバーも地元倉敷のアマチュア・オーケストラ‘倉敷管弦楽団’の方を中心に、近隣県のアマチュア・オケの方々が9割以上を占めていました。オーケストラ未経験の全くの素人は、私と、もう一人二人いたかどうか……だと思います。

 吹奏楽をやっていたこともあって、大人数でステージに上がることには慣れておりますが。いつもステージの後ろから、皆さんをちょっとオトナの気分で見下ろしていた自分が、今回は前の方で、しかも座った位置がほぼド真ん中。第2の後ろの方にいましたから、真後ろにはフルートさんがいらっしゃいました。
 当然ですが、いつもCDで全体を見渡すように聴いているのとは、全く音の聞こえ方が違います。また、周囲に気後れしてしまって、特に音量が落ちた時に「自分も音量を落とさないと」とそちらにばかり集中してしまって、しっかりと自分の音を出せるようになるのに、ちょっと時間がかかってしまいました。

 今回のオケ企画は「ぶっつけ本番」ということでしたので、リハーサルもフェルマータの後のタイミングを見たり、繰り返しを確認したり、指揮者さんが特に気になっている部分をちょっと合わせたり……ということで、15~20分ほどで終わってしまいました。
 ですので、オーケストラの雰囲気に慣れる余裕もなく、いきなり第5番が始まってしまったワケです(苦笑)
 とりあえず、周囲に引きずられそうになりながらも、ついていくのに必死でした。
 自分の出している音はかなり‘雑音’状態だったと思うのですが(汗;)
 客席で聴いていた友人たちの話では、5番も7番も、なかなかの好演だったようです。

 ベートーヴェンの交響曲第5番は、繰り返しは第3楽章で出てくる、チェロ&コントラバスから始まる一連の「ド・シドレソラシドシドレミファソ~♪」の部分だけで、あとは繰り返しなしで最後まで演奏しました。
 第1楽章の冒頭。「ソソソミ♭ー ファファファレー♪」の、あのあまりにも有名な出だし。弦楽器のユニゾンなのですが、実はクラリネットが加わっているんですよね。CDで聴いていると、音が溶けてしまっていてよくわからないのですが(だから、クラリネットを加えているんだと思うのですが)
 オケの中に入って聴いたらわかるかしら?と思っていたのですね、始まる前は。
 でも、いざとなると自分の音を出すのに必死で、そんな余裕はありませんでした(苦笑)
 今度、24日に生で、やっと金聖響さんの指揮で聴けるので。その時に改めて確かめてみようと思います。

 第7番の方は、リハーサルの時に繰り返しの確認とは別に、第2楽章で指揮の齊城先生から興味深い指示がありました。というのは、第2楽章の最後。
 楽譜では、それまでずっとピチカートで演奏していた弦楽器は、最後の最後「ミーファ♯ソ♯ラー♪」の部分は弓で弾くように指示されています。が、齊城先生からは「そこもピチカートで」という指示だったのです。そうすると、管楽器の綺麗な響きが抜けるから。というのがその理由でした。先生曰く、「この‘arco’(つまり、弓で弾け、という意味です)の指示は写譜屋さんのミスで、ベートーヴェンは本当はピチカートでやってほしいと思ってたんじゃないか」とのことだったのですが……。
 金聖響さんをはじめ、サイモン・ラトルさんとか、ヘルベルト・フォン・カラヤンさんとか、佐渡裕さんとか。いろいろな方の指揮やオーケストラでCD&生で聴いてきましたが、そこをピチカートで演奏する、というのは初めてでした。この先生のご意見、他の指揮者さんはどう思われるのか、ちょっと聞いてみたくなりました。
 でも、実際に演奏してみますと。確かに、その部分はピチカートでポンポン弾いている私たち弦楽器の上を、管楽器さんの音が飛び越えていくような感じがしました。

 また、ベト7といえば。第1楽章で、テンポがVivaceに上がる前後。フルートとオーボエさんが延々「ミ」の音を吹き続ける部分があります。N響の茂●さんによれば、「できれば相手に押し付けて、自分は降りたい」みたいなことを思ってしまう部分なのだそうですが(笑) すぐ側で聴いていて、確かにキツそうだなぁ、と思いました。
 そういえば、このべト7。
 私たちに配られたパート譜はブライトコプフ版でしたが、指揮の齊城先生が使っておられたのはベーレンライター版とお見受け致しました。

 第5番、第7番を通じて、全体的にテンポは容赦なく速めでした。やはり、コンマス&第2ヴァイオリンのトップがプロの方だったこと。また、地元の倉敷管弦楽団はかなりレベルの高い(と私は思います)アマチュアオケですので、そのメンバーが中心ということで、少々テンポ上げても大丈夫だろう、と指揮者さんが判断されたのだと思います。まぁ、ベト7に関しては演奏中に「走って」しまった面もあると思うのですが(汗;)
 ええ、私にとっては食らいついていくのに必死で、特に第2ヴァイオリンは16分音符での刻みが多くて、‘これって、ヴァイオリンだけど打楽器みたい~(涙)’状態ですので、ある意味‘爆演’状態だったと思います。実際、第1の方に「第2は忙しいから大変だよね、ベートーヴェン」と同情されました(苦笑)

 自分の演奏そのものは、もう反省点を挙げたらキリがありません(滝汗;)
 本当に、ただお邪魔しに行っただけだったと思います。でも、地元や近隣県のオケで活動していらっしゃる方がメンバーの大半を占めていたからこそ、私のようなド素人が紛れ込んでも大丈夫だったんだと思います。
 生まれて初めてのオーケストラ。
 なんだか、1日体験入団させていただいたような気分でした。
 周囲の皆様には多大なご迷惑をおかけしたと思うのですが。いつも聴くだけだった大好きな交響曲が自分の楽器から聞こえてきて。その大好きな交響曲の一部になれたこと、本当に楽しくて幸せでした。
 力量的にはとても交響曲を弾けるレベルではなかったと思います。でも、ひと月ほどの間、自分なりに真剣に取り組んで。思い切って飛び込んでみて良かった、と心から思います。
 まぁ、最初から何もかも上手く出来るわけもないんですけれど。もうちょっとちゃんと弾きたかったなぁ、と悔しい気持ちがあるのも事実です。
 今回のような企画、スタッフさんは本当に大変だったと思うのですが、またやっていただきたいなぁ、と思います。多分、私のように一度でいいからオケで弾いてみたいなぁ、と思っている人とか。今は引退しているけれど、以前オケで演奏したことがあって、またやってみたいなぁ、と思っている人とか。きっとたくさんいらっしゃると思うのです。
 県内&近隣県のアマチュアオケの交流を兼ねた合同演奏会、という面もありますし。
 毎年……はムリでも、例えば今回のように20回記念とか。節目に当たる年に恒例企画としてやっていただけたら、ぜひ、また参加してみたいと思います。今度参加するときは、1曲集中型で、もう少しちゃんと弾けるようにして出演したいと思います。

 今回、このような場を与えて下さった倉敷市文化振興財団のスタッフさんには、本当に感謝です。
 そして、誰よりも。素晴らしい曲を生み出してくださったベートーヴェンさんに、心から感謝なのです。今回、こうして演奏することで、より一層ベートーヴェンさんを好きになったように思います。
 また、怖気づいている私を励まして、後押ししてくれた友人や、ネットの音楽仲間さんにも。オーケストラでご一緒させていただいた皆様にも、心から感謝しています。

 以下、追伸その1。
 交響曲第5番と第7番の間に管楽器のアンサンブルによる演奏がありました。今回演奏した5番と7番を除いた、ベートーヴェンの交響曲の‘さわり’をメドレーでつないだ、特別アレンジによる曲でした。休憩しつつ、ロビーに響くアンサンブルの調べに耳を傾けておりました。
 その曲、「英雄」の出だしから始まって、第2番の第2楽章とか、第8番の第2楽章とか、第6番「田園」冒頭の有名なメロディなどなどを折り混ぜて、最後は第九で終わっていました。こちらの演奏も、楽しかったです。

 追伸その2。
 自分の出番が終わった後、ブラームスさんは客席から聴きました。
 第2番の第2楽章はやっぱりとても美しくて。
 第1番の第4楽章は大迫力でした。芸文館のロビーは天井が高くて、音がよく響くんですよね。だからでしょうか、音の波動がダイレクトに伝わってきて、感激&感動モノでした。終わった後もしばらくの間、音が耳から離れないくらいの名演でした。

 倉敷音楽祭開催まで、あと3日。
 町並みコンサート企画「ぶっつけ本番。スペシャル!」までは、あと4日となりました。練習できるのも、あと3日です。

 先週までで、ベートーヴェンさんはある程度目処が立ったので、今週は残るブラームスさんです。「もう、弾けるところだけ参加するよ」という魂胆でいるので、直前になってから楽譜をさらっているわけですが……ベートーヴェンさんとのこの差は、やはり愛と萌えの違いでしょうか(笑)

 ブラームスさんの交響曲から演奏するのは、第1番の第4楽章と、第2番の第2楽章です。
 1番の4楽章は、ベートーヴェンさんとドヴォルザークさんのテイストがブレンドされたような曲で、第九の「歓喜の歌」のメロディにとてもよく似たメロディが出てくる、ということで有名です。実際、その部分にさしかかるとつい、ハ長調で歓喜の歌を弾いてしまいそうになります(苦笑)

 2番の2楽章は、とても美しい曲です。冒頭のメロディも、途中の盛り上がりも、清浄な美しさを湛えていて、それはそれは綺麗な曲です。しっかりと曲を聴いたのは楽譜を受け取ってからなんですが(ブラームスさんの交響曲も一通り聴いているはずなんですが、記憶になかったんですね;)
 小澤征爾さん×サイトウキネン・オーケストラで聴いて、「こんなに綺麗な曲なら、自分でも弾いてみたいなぁ」と思った曲です。

 まぁ、第1番の第4楽章はいいんです。
 途中、「これ、今の私ではムリです(涙)」てな部分がありますが、強さはピアニシモですし。後ろの方に陣取れば「ピアニシモなんて、後ろの方のプルトは弾いてる振りはしても、音は出すな、状態ですからね」(by.大学時代にオケに入っていた友人)ということらしいので(苦笑)
 スミマセン、そこはブラームスに専念している人にお任せします。
 と思っているわけなのですが。

 問題は、第2番の第2楽章です。
 曲をじっくり聴きこんで、メトロノームをカチカチ言わせながら練習するワケなのですが。つい、呟いてしまいます。

 ブラームスさんのイヂワル。

 まず、調性。
 シャープ5つでロ長調。ピアノで言えば、黒鍵ばかり弾いているという、まるで坂本龍一教授のような世界です。
 微妙な音程が多いため、弦を押さえる位置が数mmズレたら‘きちゃない音’になります。一人で弾いていてそれですから、人数が集まれば集まっただけ、音が濁る、という現象が起こるワケです。

 そして、リズム。
 テンポはとてもゆっくりで、基本的に4拍子なのですが、問題はそのリズムの取り方です。
 ‘1と、2と、3と、4と…’とカウントする4分の4拍子と、‘123、223、324、423…’とカウントする8分の12拍子が混在しているんです。楽譜には「C」(つまり、4分の4拍子)と書いてあって、その横にカッコで「8分の12」って書いてある部分が出てくるんです。4分音符1個or8分音符1個で1拍、と思っていたら、次の小節は8分音符3個で1拍or16分音符6個で1拍になっているんです。
 雰囲気で弾いていたら、縦の線(つまり、リズムですね)が揃わない、という現象が起こるワケです。

 さらに、メロディ。
 4拍子の曲だから、普通に1小節で1フレーズが収まっているのかと思って楽譜を見ると……あら、4拍目から出るんですか? で、次の小節の3拍目までで1フレーズ?
 状態だったんですね。
 4拍目とか、4拍目のさらに裏拍からスタートするメロディが多くて、待ちすぎると遅れる、という現象が起こるワケです。

 加えて、テンポがゆっくりなので、音程もリズムも、全く誤魔化せない、というワケです。
 まさに、演奏者泣かせ(苦笑)

 でも、曲そのものは、楽譜を見ながら聴いていても、つい流されて泣いてしまうくらい美しいんです。
 あの美しさはきっと、シャープの多い微妙な音程と、微妙なリズムの揺れによって生み出されているんだろうな、と思うわけです。
 だから、「何でこんなにややこしい楽譜なの!?」と思っても、怒るに怒れないんですよねぇ。
 そして、呟いてしまうんです。

 ブラームスさんのイヂワル。

 まぁ、拗ねていても仕方ない。
 練習できるのは、今夜を含めてあと3日。
 少しでも綺麗に弾けるように、練習しようと思います。

 それにしても。
 合わせて練習している、ベートーヴェンさんの交響曲第5番と第7番は凄くわかりやすくて、はっきりしてるんですよね。速く、とか遅く、とか。強く、とか、ここはグワーッ!と盛り上げて、とか。
 それに比べて、ブラームスさんはh…(以下、自主規制;)

 そういえば、12日はこのオケ企画とは別に、午前中に友人たちと出演するステージがありまして。そちらで演奏する曲たちのなかでも、一番難しいのは「カヴァレリア・ルスティカーナより 間奏曲」なんですよね。
 美しい曲を美しく弾く。
 実はとても難しい、ということを改めて思い知らされる。そんな曲が、自分の中にまた1曲増えたように思います。

 左手の薬指が動きません(涙)

 連日の練習で、疲れが出てきているせいもあると思うのですけれど、どうも左手の薬指だけ、動きが悪いんですよね。
 特に、16分音符でスラーのついている音階やフレーズは、薬指で押さえるべき音だけ、微妙に早かったり遅かったり……と、タイミングが合わないんですね。小指や中指につられてしまっているワケです。
 はて、どうしてだろう?

 考えようとして、すぐに気がつきました。
 当たり前なんですよね、人間の体がそうできているのですから(苦笑)
 理由を話せば、マーラーやブルックナーの交響曲並みに長くなるので、割愛しますけど……。薬指には、その指だけを動かす筋肉が存在しないことが主な原因ではないかなぁ、と考えます。

 ここで、ちょっとした実験です。気が向いたらやってみて下さいませ。
 まず、両手の掌を向かい合わせにします。
 親指、人差し指、薬指、小指の指先をくっつけます。
 中指は、第2関節で折り曲げて、背中同士でくっつけます。
 これで、準備は完了。
 実験開始です。
 まず、他の指はそのままで、くっつけている親指同士を離してみてください。
 離れますね?
 同じように、人差し指や小指もやってみましょう。きっと、簡単に離れるはずです。
 じゃぁ、最後に薬指。やってみましょう。
 ………
 薬指だけを動かそうとすると、きっと小指や中指がつられそうになるはずです。私は、そうなります。まぁ、中には動かせる方もおられるようなのですけれど、大半の方は動かせないのではないか、と。

 全身の関節を動かす筋肉は、随意筋、つまり自分の意思で動かせる筋肉です。
 「動け」と思ったら動かせるはずなのに、動かない。
 つまり、親指・人差し指・小指は個々に動かせるような筋肉が存在するけれど、薬指はそれだけを動かすことができないような仕組みになっている、というわけなんです。
 ってなことを、一瞬で思い出して、すぐに合点がいったわけです。
 が、それで納得しているようでは、曲は弾けません。構造上そうなっているのは仕方ないにしても、訓練して、中指や小指につられないように動かせるようにならなければならないワケです。
 これはもう、練習あるのみだなぁ、と。
 頑張ろう、とまたまた、何度目になるかわからないんですが、自分に言い聞かせました。

 で、何をそんなに苦労しているかと言えば、ベト7です。
 第4楽章で出てくる16分音符の嵐の中で、あるんですねぇ、所々スラーになっているフレーズ。それが、きっちり等分した16分音符にならない、という(苦笑)
 その原因が、薬指だったというわけです。
 つくづく、プロの方々はとんでもなく凄いことをやっているんだなぁ、と。これまた、何度目になるかわかりませんが、改めて感心してしまいました。

 とまぁ、ベト7には大変苦労しております。
 指回らないし、弓ついていかないし、テンポ速いし、楽器鳴らないし(←これはまぁ、サイレント楽器を使っているので当たり前なんですが;)
 プライベートでの出来事も重なって、ちょっと気持ちがささくれ立っておりました。
 そんな今朝。
 車で通勤する途中、ずーっとエンドレスでかけっ放しにしているCD、聖響さん×OEKさんによる「運命」とベト7を自分でCD-Rに焼いたものなのですが、5番が終わって、7番に変わりました。
 今、一番苦労している曲です。
 強いアタックで最初の音が鳴って。
 高揚する気分を表すような上行音階が続いていきます。
 で、フォルティッシモが決まった後の、上行音階を聴いた時に、強烈に感じたんですね。
 ああ、なんて綺麗なんだろう、と。
 そう思ったら、涙が出てきました。
 あそこができないとか、ここができないとか。そんなことにこだわったり、自分の未熟さに苛立ったりしてる場合じゃないだろう、と(苦笑)
 ベートーヴェンさんはこんな綺麗な曲を書いているんだから。その一部になれるだけでも、幸せじゃないか。綺麗な曲を綺麗に聞かせられるように努力する、それだけじゃないか、と。
 朝の通勤ラッシュの中で、車を運転しながら泣くアホな女が約1名いたわけです(笑)

 音楽が好き。
 ベートーヴェンが大好き。
 この曲、好きやろ?
 それでええやんか。

 と、どこかで聞いたような声とお言葉が、ちょっと修正されて曲の向こうから聞こえたような気が致しました。
 ホントに、軽く落ち込んでいた気持ちを一気に浮上させてしまうなんて、もう何度目になるのでしょう(笑)
 やるだけのことをやって、ダメだったら仕方ない。でも、やるだけのことは、ちゃんとやらなきゃね、と思い直して、また楽器を構えて楽譜と向き合いました。
 今日から3月。
 本番まで、練習できるのは10日。
 落ち込んだり、立ち直ったり…と何度繰り返すのやら(苦笑)

結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

02 | 2006/03 | 04
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。