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20051127聖響/ウィーン古典派 最終章

 10月の第3章に引き続き、「聖響/ウィーン古典派 最終章」を聴きに行きました。
 いろいろな意味で、またしても、してやられた!という感じです(笑)

 ホールに着いて中に入りましたら、渡されたチラシに「本日の公演は出演者の演出の都合上、曲順が以下の通り変更となりました」ということが書かれておりました。なるほどぉ、と思うと同時に、やっぱりな、と思いました(笑)
 というわけで、本日の演目は以下の通りでした。

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聖響 / ウィーン古典派 最終章

ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
(休憩)
モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調
ハイドン:交響曲第45番 嬰へ短調「告別」

(アンコール)
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より 序曲

大阪センチュリー交響楽団
指揮:金聖響
ザ・シンフォニーホール 14:00~
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 察しのよい方は、「なるほどね」とお思いになったかもしれません。
 10月はハイドン→モーツァルト→ベートーヴェンの順に演奏されておりましたが、今日は逆から演奏されました。
 それも全て、ラストのハイドンのためでございます。
 曲順が変わっているのを見た時点で、友人たちと「聖響さん、やっぱりハイドンで何か企んでるね」と口々に話しておりました。

 詳しくはまた後ほどお話しするとしまして。
 まずは、冒頭からこれを聴くことになるとは思わなかった、『英雄』です。
 平均的な演奏時間は50分余り。最初に演奏するには、少々ヘヴィーな印象のある交響曲です。でも、CDではしょっちゅう泣かされていて、生で聴くのをとても楽しみにしていた曲でもあります。

 第1楽章は、どんな風に振るのかな?と、指揮に注目して聴いていました。代表的なところを挙げるならば、楽譜では4分の3拍子×4小節だけれど、聞こえてくる音は4分の2拍子×6小節に聞こえる、ヘミオラの部分とか。
 曲やリズムに乗りつつ「ああ、そうやって振るんだ」とふむふむ頷く、妙な人と化しておりました(笑)
 クライマックスのトランペットは、華々しく登場して、2小節と3拍めで控えにまわっておられました。
 また、ティンパニの強打が要所要所をピシッと絞めていて、小気味良かったように思います。

 第2楽章は、聴き慣れているCDに収録されているよりも、速めのテンポで展開されていました。なので、少しあっさりした印象です。もう少しこってりしててもいいだんけどなぁ、と思いながら聴いていたのですが……やはり、いつも泣かされる展開部ではかなりウルウルきてしまいました。
 でも、泣くまではいかなかったのは、やはりあっさりめの味付けになっていたからかもしれません。

 第3楽章から第4楽章は、3楽章の勢いをそのまま持ち込むように4楽章に突入していたように感じました。
 本日、大阪へ向かう電車の中で聖響さん&OEKさんの『英雄』を聴いていまして。第4楽章が第5変奏に入ったときに、ふと思ったのです。
 今日の演奏って、もしかしてこの部分、テンポ上げるかもしれないなぁ、と。
 で、華々しい導入から始まって、曲が進んで第5変奏へ。聴いた瞬間に、「キタキタキターーッ! やっぱりテンポ上がったぁー!」と私のテンションも急上昇してしまいました。今日は、聖響さんに関する脳内アンテナは感度良好だったらしいです(笑)

 休憩後に交響曲があと2曲残っていたからでしょうか。独断と偏見で申し訳ないのですが、今日の『英雄』は、ちょっと抑え目で体力を温存しつつ走っているような印象でした。全体としてテンポが速かったり、あっさりめになっているのは、そのためだったのかなぁ、と。
 第2楽章でハ短調からハ長調へと転じてフォルティッシモになる所は、とても気持ちよかったですし。第3楽章のホルンは、わざと音を歪ませるように吹かせているのが面白いなぁ、と感じましたし。ああ、こういう『英雄』もアリなんだなぁ、と思う、ステキな演奏でございました。
 ただいつか、プログラムの最後にドーンとこの曲があって、フルスロットルな演奏を聴いてみたいなぁ、と欲が出てしまいました。

 休憩を挟んで、お次はモーツァルトです。
 プログラムの解説によれば、オーケストラには必須とも思われるオーボエを外したこの曲。全体としてとても柔らかく、清々しくて楽しい印象を受けました。変ホ長調、という調性はもともと柔らかい印象なのだと思うのですけれど。それを、よりソフトにした、といったところでございましょうか。
 ピリオド奏法ということで、ヴィブラートをかけないヴァイオリンの旋律がとてもクリアに聴こえるけれど、とても柔らかい、という。清々しいという印象は、その辺りから感じ取ったのかもしれません。
 第2楽章はうっとりしてしまうほど綺麗で。
 第3楽章のメヌエットはとても楽しくて、「はい、このテンポで演奏しましょうね」とオーケストラに指示してある程度リズムに乗ってきたら、あまり細かく指揮することなく楽しげにオーケストラの演奏を聴いておられた聖響さんがとても印象的でした。あまりにいいお顔で、楽しそうにしておられるので、つられて私も超笑顔で聴いてしまいました。実際、この楽章は聴いていてとても気持ちよかったです。

 とても気持ちよく、楽しかったモーツァルトの後は、本日のメインディッシュ(?)、超問題作になりそうな予感がするハイドンです。
 ハイドンの交響曲『告別』と言えば。
 タイトルどおり(?)、第4楽章のラストで演奏者が一人ずつ減っていって……という演出が施されている曲であります。
 ということを、今年3月の倉敷音楽祭で演奏された、シュニトケ作曲の『モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン』で知りまして。いつか、本家本元の『告別』も聞いてみたいなぁ、と思っておりました。
 まさかそれが、年内に、金聖響さんの指揮で叶うとは思いもよらず、嬉しゅうございました♪
 次々と去っていく演奏者に取り残された指揮者が最後、頭抱えて「なんてことだ!」とばかりに困った顔して指揮台に突っ伏す、なんて某M・Iさんのようなことはやらないとして。でも多分、何らかの趣向を凝らしてくるんだろうなぁ、と思いつつ。
 初めて聴く曲への期待と、ラストへの期待が相乗効果で高まる中、演奏が始まりました。

 第1楽章、第2楽章は『告別』の名に相応しい、悲しい別れを予感させるような曲調でした。特に印象に残ったのは、第2楽章。
 弱音器をつけたヴァイオリンの、抑圧されながらも叫ぶような音色がとても綺麗で、聴きながら気がついたら泣いていました。
 第3楽章のメヌエットは不思議な和声で綴られていて、曲を途中でばっさりと断ち切るような終わり方が面白いなぁ、と思いました。1楽章、2楽章、3楽章……と、音楽でいろいろな「別れ」を象徴しているようで。なるほど、確かに『告別』だなぁ、という。

 え?そこで終わってしまうの?と戸惑う気持ちが残る中、いよいよ問題の第4楽章に突入です。プレストという速いテンポで始まった曲が一度止んで、仕切りなおしてアダージョへ。
 曲が進むと、突然、チェロの後ろの方やホルン、コントラバスの辺りでいきなり、数名の団員さんたちが立ち上がりました。「ちょっと、飲みにでも行こうや」とばかりに、楽器を持って舞台下手へ去っていきます。
 ああ、来たな。皆さん、演奏を途中でやめて去っていかれるんだな。
 と思っておりましたら、後ろの席にいたオジサマたちが「え? なんで出ていくん?」と戸惑ったご様子で口々に話しておられました。
 一緒に帰ろう、と別の団員さんの肩を叩いたり。ストールを巻いて上手側へ去って行く女性団員さんがおられたり……、といった様子はまるで、「じゃぁ、皆。何か面白いことやってステージから下りようか」と聖響さんに指示されていたようではありませんか(笑)
 後ろのプルトからいなくなっていく団員さんたちを見て、途中で後ろのオジサマたちも「これ、そういう演出なんやな」と気がつかれたようでした。

 そして、ついに、弦4部の1プルト目の8人だけが残されて。
 その8人も、やがて演奏をやめて一人、また一人と去っていくわけなのですが。茶髪のチェリストさんが、聖響さんに赤いバラの花を投げて、それを受け取って胸ポケットに差す聖響さんに、思わず爆笑してしまいました。さらに芸が細かいことに、そのチェリストさん。「退場」と大きく書かれた日の丸の扇子をバッ!と開いて、ステージを横切るように上手側へ去っていかれました。
 さあ、ステージに残されたのは、聖響さんとコンマスさんと、ヴィオラの首席さんと、第2ヴァイオリン首席の女性、と四人だけになりました。
 お次は誰が?
 聖響さんは、やっぱり最後まで残るのかしら?
 と思っていましたら、動いたのはなんと聖響さんでした(笑)
 ヴィオラ首席の方が演奏を終えてステージから去っていくのに便乗して(?)、指揮台から下りて、ヴィオラの方と握手をして、
 「じゃ、自分もコレで。あとヨロシク」
 てな感じで歩いていく聖響さんが……メチャメチャ楽しそう!!(笑)
 ちょっと待って下さい。アナタまでいなくなっちゃうんですか!? っていうか、寂しいお別れの曲のはずですよねぇ、この曲って!?
 と心の中でツッコミを入れたのは、私だけではなかったはずです(笑)
 多分思わず「マジっすか!?(笑)」と声が出てしまっていたと思います。
 そして、ステージにはヴァイオリンのお二人だけが残されて、律儀に最後まで演奏して、終曲と相成りました。

 え?
 演出の記述ばかりで、曲の感想がないじゃないか、ですと?
 スミマセン。演出があまりに面白くて、「してやったり」とばかりに、悪戯っ子のような顔をしておられる聖響さんが失礼ながらも可愛らしくてですね。
 別れを惜しむかのような曲とは裏腹に、笑いの風景が展開されているステージに心奪われ、曲をほとんど聴いておりませんでした(苦笑)

 大いに笑わせていただいて盛り上がった客席の拍手に応えるかのように、団員さんたちが戻ってきたステージでは、ハイドンの交響曲では使われなかった楽器を加えるべく、椅子と譜面台がいくつか追加されていました。
 あ、アンコールやるのね?
 曲は何を?
 と思っておりましたら、聖響さんが客席の拍手にストップをかけて、お話してくださいました。
 来年の、モーツァルトシリーズの予告編、といいますか、ご挨拶といいますか。
 『歌劇「フィガロの結婚」より 序曲』でした。
 思わず、身を乗り出して聴いてしまいました。
 大盛りのフルコースをいただいた後、大皿にごっそり盛られたデザートまでいただいてしまったような満足感でした♪
 交響曲第39番の充実感といい、『フィガロ』の鮮やかさといい。
 来年のシリーズ、楽しみです。

 終演後はサイン会がある、ということで長蛇の列に並び、サインしていただきました♪
20051127 聖響さんサイン

 パンフレットの最後、とてもいいお顔で映っておられて大好きなショットなので、その横にいただきました。
 その時に、来年のモーツァルトシリーズ、全部聴きに来ます!
 と聖響さんにお誓い申し上げましたので。
 また、来年も「攻撃的なプログラム」を聴くために、せっせと大阪へ通うことになりそうです。

 今日のコンサート、本当に楽しませていただきました。
 このテンションで28日から1週間続く期末テストを乗り切ろうと思います。

(2005.11.28に一部加筆致しました)
(2006.2.2に更に一部、修正致しました)

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 昨夜BS2で放送された、ストラヴィンスキーの「兵士の物語」を観ました。

 初めて「兵士の物語」を拝見したのは、今年の3月に行われた倉敷音楽祭でのことでした。あの時の「兵士の物語」は、指揮者のIさんが悪魔役を兼ねていて、思いっきりハジけておられて。ヴァイオリンの某Kフィル・ソロコンマスのIさんの魅力が炸裂!なステージでして。
 かなりシリアスなストーリーのはずなのに、コメディに演出されていて、会場は大爆笑の渦に包まれておりました。

 でも、この「兵士の物語」は全く違った印象を受けるんだろうなぁ。
 と興味が沸いたので、観ることに致しました。

 番組のHPによれば、出演者&演奏者は以下の通りです。

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  悪魔 : 田中  泯
  兵士 : 玉井 康成
  王女 : 石原 志保

  バイオリン : 永峰 高志
  コントラバス : 池松  宏
  クラリネット : 横川 晴児
  ファゴット : 水谷 上総
  トランペット : 井川 明彦
  トロンボーン : 池上  亘
  パーカッション : 植松  透
  指 揮 : 準・メルクル
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 舞踏家の田中泯さんと、指揮者の準・メルクルさんが組んだこの「兵士の物語」
 ステージで上演されたものではなく、NHKのスタジオに3トンもの砂を敷き詰め、ダンサーが衣装・メイクを施しているのはもちろんのこと、N響メンバーである演奏者も衣装を着て、収録されたものでした。

 だからでしょうか。
 ライティングもすごく凝っていて、映像をいくつか重ねる演出もあって。指揮者や演奏者は、砂の上に台を置いて、円形に配置されていて、その中心や、周囲を回るようにダンサーが踊る。なんてシーンもありました。
 セピア色で、陰影を強調するようなライティングと、床に敷き詰められた砂のためなのか、すごく殺伐とした印象を受けます。

 兵士や悪魔の踊りに、多分NHKのアナウンサーなのでしょう、ゆっくりとした語りが重なっていて、話の流れがよくわかるようになっていました。改めて拝見していて、「なるほど、あのシーンはそういうことだったのね」と納得する所も多々ありました。やはり、3月のステージは指揮者Iさんの奇抜なスタイルやハジけっぷりと、ヴァイオリンのIさんのステキなご様子に目を奪われて、話の流れがイマイチよくわかっていなかったようです(汗;)。
 また、指揮者の準・メルクルさんがシーンの変わり目などに映し出されて、事の成り行きを見守っているような感じでした。指揮者が音楽だけでなく、ストーリーまで統率しているような趣向が面白かったです。

 3月に観たときは、分不相応なものを望んだがために、身を滅ぼしていく兵士の様子がすごく印象に残ったのですけれど。
 この「兵士の物語」は、“音楽”と“言葉”の関係性が前面に押し出されているようでした。“音楽”を象徴する兵士と、“言葉”を象徴する悪魔。その関係が、兵士の持っているヴァイオリンと、悪魔が持っている“未来を見通すことのできる本”を交換することで入れ替わってしまう、という。
 その本を手に入れたことで、交換不可能なものを交換してしまったために、兵士は本来生きていた“時間”とは別の“時間”を生きるようになってしまう。そしてまた、悪魔からヴァイオリンを取り戻すことで、再び元の“時間”へと戻ってくる。その辺りの話の展開が、この放送では上手く言葉と踊りで表現されているように思いました。

 観ていて面白いなぁ、と思ったのが。例えば「小川のほとりの小曲」などで、演奏していないメンバーが演技に加わっている点でした。曲が鳴っていない部分でも、例えば村人になったり、めいめいに楽器の手入れをしたり。普通の人々は兵士とは全く違う時間を生きていて、兵士だけが孤立している様子がよくわかりました。
 かと思えば、時々演奏している台から下りて、兵士に絡んでいく、というシーンもあって。横たわる兵士に砂をかけたのも、ひょっとして彼らだったのかしら?と思いながら観ておりました。

 曲の方は、ストラヴィンスキーということもあるのでしょうか。噛み合うようで、噛み合わない。何となく不安を覚えるようで、奇妙な浮遊感がある。
 そんな和声が、本来入れ替わるはずのないものが入れ替わってしまったり。本来生きるはずのない時間を生きてしまう、という不思議な物語にピッタリとマッチしているように思います。

 ステージで上演されるものとは、一味も二味も違った「兵士の物語」
 音楽と踊りと語りでつづられるこの物語は、様々な演出を許容する、懐の広いものなのだなぁ、と感心させられました。

 というか、私が3月に観たアレが、あまりに極端すぎたのかもしれませんね(笑)

 今夜NHK-FMで放送された「ベストオブクラシック」はN響の定演(サントリーホールから生中継だそうです)でした。
 番組HPによれば、本日の演目は以下の通りです。

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 第1555回N響定期公演

モーツァルト作曲:歌劇“フィガロの結婚”序曲
モーツァルト作曲:協奏交響曲 変ホ長調 K.364
 (バイオリン)堀正文
 (ビオラ)店村眞積
ブラームス作曲:交響曲 第4番 ホ短調 作品98

 (管弦楽)NHK交響楽団
 (指揮)イルジー・コウト
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 数年前まで、ほぼ毎年のように倉敷音楽祭に参加して下さっていた堀さんと店村さんが共演、ということで、今夜の放送は楽しみにしておりました。
 店村さんが音楽祭に来られていた数年前、やはりこのモーツァルトの協奏交響曲を演奏して下さったことがありまして。あの時は、あえてお名前は申し上げませんが、ヴァイオリンがヒステリックなおばちゃんで、ちょっといただけなかったんですよね……(苦笑) 穏やかでまろやかな、どっしりとしたような店村さんのヴィオラと、ヒステリックに鳴り響くおばちゃんのヴァイオリン、というなかなか面白い対比を見せていただいたことは、未だ記憶に残っております。

 でも、今日の共演は堀正文さん。N響のソロ・コンサートマスターとヴィオラのソロ首席奏者の共演ということで、N響ファンにはたまらないのではないか、とは番組担当の女性アナウンサーのお話でした。私はN響ファン、というわけではないのですけれど。でも、ソリストお二人のファンですので、やはりたまらない演奏会でございました♪

 で、そのモーツァルト作曲の協奏交響曲。
 ヴァイオリンとヴィオラの掛け合いも、一緒にハモって弾くところも、絶妙でございました。カデンツァでは、お二人の、とても息のあった見事なアンサンブルを聴くことができて、大満足でございます(^^)

 この曲。第1楽章のホルンが奏でる「ソーラ♭シ♭・シ♭・ソ・ミ♭」というメロディがとてもリズミカルで、軽やかで、ステキでした。
 もともと、店村さんのヴィオラは、倉敷音楽祭にいらしていた頃から「オシャレでステキなオジさまが、ステキな音を奏でておられるわ~♪」ということで、好きでして。CDも持っているのです。今でも、N響アワーなどなどで店村さんが映ると、嬉しくなってしまうのです。第2楽章では、その店村さんがしっとりとした音色で切々とメロディを歌い上げて下さって、うっとり聴き入ってしまいました。
 そして、やはりしっとりと歌い上げる堀さんのヴァイオリンも、とてもステキでした。
 第3楽章は、軽やかで優雅な印象で、テンポも速いんですよね。この楽章のソロパート、ヴァイオリンもヴィオラも、どちらも大好きです。
 この曲の演奏後、なかなか拍手が鳴り止まなかったのも、納得です。全体として、柔らかくて温かい響きだったように思います。

 モーツァルトの協奏交響曲が終わった後。休憩時間中に解説の方が話して下った、演奏法についてのお話も、とても興味深く聞かせていただきました。
 それによると、変ホ長調という調は、ヴィオラにとっては「よく鳴る」調ではないらしくてですね。モーツァルトは、楽譜をニ長調で書いて、楽器を半音高く調弦して弾くように意図していたらしいのです。そうすると、例えばマーラーの交響曲第4番の第2楽章で登場するソロ・ヴァイオリンのように、音が浮き立つという効果があって。それを狙っていたようなのです。
 今夜の店村さんは、通常どおりのヴィオラの調弦、下からC・G・D・Aで調弦して、普通に変ホ長調で弾いていました。数年前に聴いた時も、そうだったと思います。いつか、半音高く調弦したヴィオラで演奏されるこの協奏交響曲も聴いてみたいなぁ、と思います。

 休憩を挟んだ後半は、ブラームスの交響曲第4番でした。
 この曲。5月下旬に地元のアマチュアオケの定期演奏会を聴いた時、団員さんが書いておられた曲目解説のですね。冒頭のヴァイオリンは「中高年の寂しさがひとしおです」という表現がドンピシャで、すっかりツボにハマってしまいまして。この曲を聴く度に「ああ、中高年の寂しさが……」と思ってしまうようになりました(笑)

 そういう観点でこの曲を聴くと、第1楽章は寂しいオジサンが鬱に入ったり、時にストレスがたまりすぎたかのように爆発したりして。「俺に構ってくれ!」と叫んでいるようにも思えてしまうので、先入観といいますか、独断と偏見といいますか。思い込み、というのは音楽の受けとめ方をかなり左右するんだなぁ、とミョーに冷静に自己分析してしまいました。
 そして、第2楽章は。例えば、丹精込めて育てている盆栽とか、可愛がっているペット(この場合、子犬が相応しいかと思われます)に束の間の癒しを求め、ささやかな幸せにひたっているようにも思えます。盆栽がいい枝ぶりになったり、子犬が懐いてくれたりして、幸せを感じることもあるのですけれど……でも、全体としてはやっぱり寂しくて。家族は誰も相手にしてくれない、という虚しさを感じているのかもしれません。

 って、いい加減「中高年の寂しさ」から離れましょう、自分(苦笑)
 想像を膨らませすぎ&話が飛躍しすぎです。

 この交響曲の第3楽章は、とても好きな楽章です。聴くと、いつもワクワクしてしまいます。トライアングルの効果もあるのだと思うのですけれど、先の2つの楽章で漂っていた哀愁の欠片もないんですよね。
 でも、第4楽章ではまた短調に戻ってしまう。
 それを思うと、第3楽章は何だか、目の前に避けようのない、いつかは手をつけなければならないんだけど、しんどいことがあって。でも、それから目をそむけて楽しいことに興じ、上辺だけの享楽を味わって、ある意味現実逃避しているような感覚によく似ているような気がします。
 ……なんてことを思ってしまうのは、今まさに、自分がそのような状況にあるからでしょうか(笑)

 今夜の放送。
 モーツァルトもブラームスも素晴らしくて。
 堀さんと店村さんの妙技も堪能できて。
 幸せでございました。

 今夜のNHK-FM「ヨーロッパ・クラシック・ライブ」は小澤征爾さん指揮による、ウィーン・フィルの演奏会でした。何故聴いたのか、と問われれば、ゲストが金聖響さんだったから、なのですけれど(笑)
 番組HPによれば、本日の演目は以下の通りでした。

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ヨーロッパ・クラシック・ライブ
 - 小澤征爾指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
            2005/06 第3回定期演奏会 -

ブルックナー作曲:交響曲 第9番 ニ短調
ブルックナー作曲:テ・デウム
  (ソプラノ)ゲニア・キューマイアー
  (アルト)モニカ・グロープ
  (テノール)ヘルベルト・リッパート
  (バス)ギュンター・グロイスベック
  (合唱)ウィーン楽友協会合唱団

  (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  (指揮)小澤 征爾
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 ご覧の通り、ブルックナー2本立てでございます。
 どちらも初めて聴く曲でしたので、聖響さんの解説と合わせて、どんな曲かしら?と楽しみにしておりました。

 今夜の演奏会は、ブルックナーの9番が第3楽章までしかない、ということで、休憩がなく、続けて「テ・デウム」が演奏されました。第2楽章の後で少し時間を取って、「テ・デウム」のソリストや合唱団がステージに登場するということになっていたようです。
 また、ブルックナーの交響曲はノヴァーク版ということでした。

 独断と偏見を承知で申し上げますと、ブルックナーといえば。オーケストラがフルボリュームで鳴ったかと思うと、突然その音がやむ、とか。曲が長い、とか。家で聞く時に最小音量に焦点を合わせて音量を調節していたら、フルボリュームでオケが鳴ったときに「うわ、音デカすぎ」と思ってしまう、とか。
 そういうイメージが強のですけれど。

 今夜聴かせていただいた交響曲第9番は、まず、美しいと感じました。
 第1楽章は、ニ短調ということですが暗い印象があまりなくて、陶酔してしまいそうなほど美しい部分がするっと心の中に入ってくるように思いました。
 弦楽器がユニゾンで下降する中、金管楽器が高らかに鳴り響くあたりは、ホールで生で聴いたら鳥肌が立つほど大迫力だったのではないか、と想像します。
 何が?とか。どこが?とか、問われると上手く説明できないのですけれど。
 音の流れ方とか、ヴァイオリンの響きなどを美しく感じると同時に、音の迫力を存分に味わったような第1楽章でした。

 第2楽章は、弦楽器のピチカートで静かに始まる……と思いきや、いきなり激しくなって。“タタタンタンタンタンタン”と同じリズムが繰り返される部分を聴いた時に、ふと思いました。
 私、この曲聴いたことあるかも。
 と。どこでどんな風にして聴いたのかは、全然記憶にないのですけれど。何だか覚えがあるんですよねこの楽章。「はい、これはブルックナーの交響曲第9番の2楽章ですよ」と意識せずに、いつの間にか聴いていたのかもしれません。
 とてもリズミカルな楽章で、思わず一緒に体でリズムを取りながら聴いてしまいました。こういう曲、好きです♪

 この第2楽章が終わると、予告どおり。次の曲に備えてソリストと合唱団を入れるための時間が取られまして。再び、アナウンサーとゲスト様登場でした。
 準備の様子やステージの様子などを聖響さんが話されて、改めて仕切りなおして第3楽章へ。聖響さんが仰られたとおり、ある程度は仕方ない、と割り切っておられることと思いますが。
 1曲の中でこのような中断が入ると、集中や気持ちを持続させるのってなかなか大変なのではないかなぁ、と思いました。

 そして、その第3楽章。
 第2楽章からガラリと雰囲気を変えて、テンポもゆっくりで、落ち着いた穏やかな感じの楽章でした。チェロとヴィオラのメロディがとても綺麗で、弦楽器が中心になって曲が展開され、それに木管楽器が絡んでくるあたり、やはりとても美しかったです。
 全体として、ゆったりと音楽が流れていて。演奏時間もそれなりに長いので、ステンドグラスの明かりに照らされたホールで聴いていたら、気持ちよくなってうたた寝してしまうかも……なんて思ってしまった私は不届き者かもしれません(笑)

 この交響曲第9番。第4楽章のスケッチは残っているけれど、第3楽章までしかない、というその終わり方。静かに消えるような終わり方を聴いていて、思いました。 
 なるほど、確かにこの後、第4楽章が続きそうだなぁ、と。

 そして、あたかも第9番の続きであるかのように、拍手が入る隙もなく、あまり間を置かずに「テ・デウム」に入りました。曲目を見ずに聴いていたら、この「テ・デウム」を第9番の第4楽章だと思ってしまったかもしれません。それほど、違和感がありませんでした。
 と言いますか、そう聴こえるように狙って、このような演目を組み合わせて、続けて演奏したのかもしれないのですけれど。

 その「テ・デウム」ですが。
 やはり、オーケストラと合唱が一緒になると、とても壮大な響きになりますね。圧倒されると同時に、厳かな気持ちになります。歌詞はドイツ語なのでしょうか、全く理解できないのですけれど。和声とか、メロディとか。聴いていると、ピッと身が引き締まるような思いがしました。
 ……演奏後、聖響さんがお話されていて初めてわかったのですけれど。
 なるほど、この「テ・デウム」。冒頭から「神よ!」と歌っていたのですね。どおりで、聴いていて荘厳で壮大な気持ちになったはずだなぁ、と後から思いました。

 こうして、交響曲第9番と「テ・デウム」を続けて聴いてみますと。トータルして90分近くになる、超大作の交響曲を聴いたような気持ちになりました。曲を聴いた、というよりも、長い物語を音だけで聴かされたような感じ、というのが一番近いでしょうか。

 曲が終わってから、再び聖響さんたちのお話が入って。
 ホールの様子を電話で伝えて下さいまして、家にいながらホールの臨場感を味わうことが出来ました。
 小澤さんの様子なども伺うことができて、なるほどなぁ、と興味深く思うことも多い、今夜の放送でした。

 このCD。
 発売日前日の、店頭着荷日には入手して聴いていたのですけれど。感想を書くのが遅くなってしまいました。
 当日にざっと、第一印象を通常日記に書いたのですが、改めてじっくり……ということで感想など、書かせていただきます。

遠藤真理(チェロ)
ジャクリーヌの涙
  (2005年リリース AVCL-25042)

<収録曲>
 チェロ協奏曲第1番(サン=サーンス)
 ロココ調の主題による変奏曲(チャイコフスキー)
 ジャクリーヌの涙(オッフェンバック)

遠藤真理(チェロ)
オーケストラ・アンサンブル金沢
指揮:金聖響
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 このCDを買って聴こう、と思った理由はズバリ。
 金聖響さんが指揮をしているから、でございました(笑)。
 というワケで、カテゴリも「金聖響さん」で、感想もバックのオーケストラに偏ったものになると思われますことを、初めにお断りいたします。

 まずは、サン=サーンスのチェロ協奏協奏曲第1番から。

 思い起こせば、私が最初にCDを購入して聴いたチェロ協奏曲が、この曲でした。
 定番ともいえる3楽章構成ではなく、全曲を通して演奏される上に、全部通しても20分足らずということで、聴きやすい曲であるように思います。

 序奏も何もなく、オーケストラの強打一発の後でいきなりチェロのメロディが飛び出す第一部は、全体としてテンポが速め。アレグロ楽章は比較的速めのテンポ設定をする聖響さんらしいといえば、らしいように思います。第一主題が息もつかせず、畳み掛けるように展開されるためでしょうか、続く第二主題との対比が際立っているような気が致します。ライナーノーツには「優美な」と形容されていましたが、そこはかとなく、哀愁も漂っているように思います。

 そんな第一部からノンストップで演奏される第二部。
 この冒頭のオーケストラが、リズミカルで、ひっそりと囁くようなその響きが、泣いてしまいそうなほど綺麗で、たちまち大好きになってしまいました。今まで何度となくこの曲を聴いてきましたが、こんなに綺麗だと感じたのは初めてです。
 聖響さん&OEKさんでリリースされているベートーヴェン・シリーズでも思うのですけれど。本当にOEKさんの木管楽器陣の音色は美しいです。特に、華やかに鳴り響いた後、ひっそりと響いてくるオーボエやフルートは、「もうこの音だけを聴いていたい」と思うほど陶酔してしまいます。
 その、美しいオーケストラの響きにフワリと乗るようなチェロのメロディが、これまたステキでございました。

 そして最終章の役割を果たす第3部。クライマックス間近でオーケストラが奏でる、第1部で登場した第一主題につけられた微妙な強弱が生み出す音のうねりが、何とも言えず心地よいです。再びテンポを上げて、爽快なラストへ向かって突っ走っていくわけなのですが……。
 全体としては、勢いに乗っていてステキだと思うのです。
 ただちょっと。
 独奏チェロの音程が甘く入るため(音符が細かくなるので、やむを得ない面もあると思うのですけれど;)、それが気になって曲に没頭できない部分がちょこちょこありました。

 2曲目は、チャイコフスキー作曲の『ロココの主題による変奏曲』。
 この感想を書くために改めてライナーノーツを見て、やっと気づいたのですけれど。このおチャイコさんの『ロココ~』も、サン=サーンス作曲のチェロ協奏曲も。どちらも作品番号が33なんですね。
 たまたまそうなってしまったのか、狙ったのか。
 真偽の程はわかりませんが、面白いつながりがあるんだなぁ、と感心してしまいました。

 で、肝心の曲の方ですが。
 このおチャイコさんも、序奏のオーケストラがとても美しいです♪ しっとりとして、エレガントな響きがステキです。
 ホルンのソロを受けて入ってくるチェロのメロディ、そしてそれを受けるオーケストラの合いの手(?)が絶妙で、聴いていてとても心地よいです。オーボエとファゴットの掛け合いは、エキゾチックで色気があって、これまたステキです。
 もう、序奏と主題だけで、かなりうっとりしてしまいました(笑)。
 軽やかに音が上下する第1変奏も、バックのオーケストラの音がこれまた軽やかで。第2変奏の、チェロの動きを受けて駆け上がるヴァイオリンと一緒に、そのまま天まで昇ってしまいそうな心地でございます。
 独奏チェロが浪々と歌い上げる第3変奏は、じっくりと聞き入ってしまいました。
 そしてまた軽やかに弾む第4変奏。微妙なテンポの揺れ感が、たまらないです。
 第5変奏は、オーケストラが主役になったかと思えば、チェロのカデンツァが入って。オーケストラも独奏チェロも、どちらもたっぷり堪能できる構成になっているようでした。
 その第5変奏から、短調でゆったりとした第6変奏に続いて、ラストの第7変奏。
 まさにフィナーレに相応しく、華々しくてドラマティック。オーケストラも独奏チェロも動きや音符が細かくて、テンポアップしていることもあって、爽快感もバツグンです。
 ブラボーでございました♪

 最後に収録されている、オッフェンバックの『ジャクリーヌの涙』
 アルバムのタイトルにもなっているこの曲は、このCDで初めて聴いたのですが、メロディがとても綺麗で、哀愁たっぷりで。それを切々と歌い上げていくチェロがとても美しいです。
 そんなチェロをひっそりと、けれどしっかりと支えるオーケストラもステキです。

 個人的な意見を言わせていただくと。
 このアルバムで一番気に入ったのは、おチャイコさんでした。
 本当に、序奏~第2変奏辺りまでの独奏チェロとオケの掛け合いが絶妙で、聴いていてとても心地よくて、気持ちいいのです♪
 遠藤さんのチェロと、聖響さんの指揮。
 この組み合わせは、来年1月早々に大阪で開かれるコンサートで、生で聴くことができます。演奏される曲は、このCDに収録されたものではなく、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。独奏チェロの難易度も高く、オーケストラもかなり活躍する曲なので。
 どんな演奏になるのか楽しみです♪

結月秋絵

Author:結月秋絵
ようこそお越し下さいました(礼)
音楽の原点はG-CLEF。
好きな指揮者は金聖響さん、佐渡裕さん、下野竜也さん。
好きなヴァイオリニストは落合徹也さん、古澤巌さん、神奈川フィルのソロ・コンマス石田泰尚さん。
好きなピアニストは榊原大さん。
好きなチェリストは柏木広樹さん、ヨーヨー・マさん。
などなど、挙げ始めるときりが無いです(笑)
ピアノ、パーカッション(吹奏楽部にて)、ヴァイオリンの楽器経験があります。
ちなみに、この写真は倉敷市民会館のステージにて。中学時代の定位置(=鍵盤楽器系パーカッション)からの隠し撮りです(爆)

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