Sun
11/27
2005
聖響/ウィーン古典派 最終章

10月の第3章に引き続き、「聖響/ウィーン古典派 最終章」を聴きに行きました。
いろいろな意味で、またしても、してやられた!という感じです(笑)
ホールに着いて中に入りましたら、渡されたチラシに「本日の公演は出演者の演出の都合上、曲順が以下の通り変更となりました」ということが書かれておりました。なるほどぉ、と思うと同時に、やっぱりな、と思いました(笑)
というわけで、本日の演目は以下の通りでした。
--------------------------------------------
聖響 / ウィーン古典派 最終章
ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調「英雄」
(休憩)
モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調
ハイドン:交響曲第45番 嬰へ短調「告別」
(アンコール)
モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より 序曲
大阪センチュリー交響楽団
指揮:金聖響
ザ・シンフォニーホール 14:00〜
--------------------------------------------
察しのよい方は、「なるほどね」とお思いになったかもしれません。
10月はハイドン→モーツァルト→ベートーヴェンの順に演奏されておりましたが、今日は逆から演奏されました。
それも全て、ラストのハイドンのためでございます。
曲順が変わっているのを見た時点で、友人たちと「聖響さん、やっぱりハイドンで何か企んでるね」と口々に話しておりました。
詳しくはまた後ほどお話しするとしまして。
まずは、冒頭からこれを聴くことになるとは思わなかった、『英雄』です。
平均的な演奏時間は50分余り。最初に演奏するには、少々ヘヴィーな印象のある交響曲です。でも、CDではしょっちゅう泣かされていて、生で聴くのをとても楽しみにしていた曲でもあります。
第1楽章は、どんな風に振るのかな?と、指揮に注目して聴いていました。代表的なところを挙げるならば、楽譜では4分の3拍子×4小節だけれど、聞こえてくる音は4分の2拍子×6小節に聞こえる、ヘミオラの部分とか。
曲やリズムに乗りつつ「ああ、そうやって振るんだ」とふむふむ頷く、妙な人と化しておりました(笑)
クライマックスのトランペットは、華々しく登場して、2小節と3拍めで控えにまわっておられました。
また、ティンパニの強打が要所要所をピシッと絞めていて、小気味良かったように思います。
第2楽章は、聴き慣れているCDに収録されているよりも、速めのテンポで展開されていました。なので、少しあっさりした印象です。もう少しこってりしててもいいだんけどなぁ、と思いながら聴いていたのですが……やはり、いつも泣かされる展開部ではかなりウルウルきてしまいました。
でも、泣くまではいかなかったのは、やはりあっさりめの味付けになっていたからかもしれません。
第3楽章から第4楽章は、3楽章の勢いをそのまま持ち込むように4楽章に突入していたように感じました。
本日、大阪へ向かう電車の中で聖響さん&OEKさんの『英雄』を聴いていまして。第4楽章が第5変奏に入ったときに、ふと思ったのです。
今日の演奏って、もしかしてこの部分、テンポ上げるかもしれないなぁ、と。
で、華々しい導入から始まって、曲が進んで第5変奏へ。聴いた瞬間に、「キタキタキターーッ! やっぱりテンポ上がったぁー!」と私のテンションも急上昇してしまいました。今日は、聖響さんに関する脳内アンテナは感度良好だったらしいです(笑)
休憩後に交響曲があと2曲残っていたからでしょうか。独断と偏見で申し訳ないのですが、今日の『英雄』は、ちょっと抑え目で体力を温存しつつ走っているような印象でした。全体としてテンポが速かったり、あっさりめになっているのは、そのためだったのかなぁ、と。
第2楽章でハ短調からハ長調へと転じてフォルティッシモになる所は、とても気持ちよかったですし。第3楽章のホルンは、わざと音を歪ませるように吹かせているのが面白いなぁ、と感じましたし。ああ、こういう『英雄』もアリなんだなぁ、と思う、ステキな演奏でございました。
ただいつか、プログラムの最後にドーンとこの曲があって、フルスロットルな演奏を聴いてみたいなぁ、と欲が出てしまいました。
休憩を挟んで、お次はモーツァルトです。
プログラムの解説によれば、オーケストラには必須とも思われるオーボエを外したこの曲。全体としてとても柔らかく、清々しくて楽しい印象を受けました。変ホ長調、という調性はもともと柔らかい印象なのだと思うのですけれど。それを、よりソフトにした、といったところでございましょうか。
ピリオド奏法ということで、ヴィブラートをかけないヴァイオリンの旋律がとてもクリアに聴こえるけれど、とても柔らかい、という。清々しいという印象は、その辺りから感じ取ったのかもしれません。
第2楽章はうっとりしてしまうほど綺麗で。
第3楽章のメヌエットはとても楽しくて、「はい、このテンポで演奏しましょうね」とオーケストラに指示してある程度リズムに乗ってきたら、あまり細かく指揮することなく楽しげにオーケストラの演奏を聴いておられた聖響さんがとても印象的でした。あまりにいいお顔で、楽しそうにしておられるので、つられて私も超笑顔で聴いてしまいました。実際、この楽章は聴いていてとても気持ちよかったです。
とても気持ちよく、楽しかったモーツァルトの後は、本日のメインディッシュ(?)、超問題作になりそうな予感がするハイドンです。
ハイドンの交響曲『告別』と言えば。
タイトルどおり(?)、第4楽章のラストで演奏者が一人ずつ減っていって……という演出が施されている曲であります。
ということを、今年3月の倉敷音楽祭で演奏された、シュニトケ作曲の『モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン』で知りまして。いつか、本家本元の『告別』も聞いてみたいなぁ、と思っておりました。
まさかそれが、年内に、金聖響さんの指揮で叶うとは思いもよらず、嬉しゅうございました♪
次々と去っていく演奏者に取り残された指揮者が最後、頭抱えて「なんてことだ!」とばかりに困った顔して指揮台に突っ伏す、なんて某M・Iさんのようなことはやらないとして。でも多分、何らかの趣向を凝らしてくるんだろうなぁ、と思いつつ。
初めて聴く曲への期待と、ラストへの期待が相乗効果で高まる中、演奏が始まりました。
第1楽章、第2楽章は『告別』の名に相応しい、悲しい別れを予感させるような曲調でした。特に印象に残ったのは、第2楽章。
弱音器をつけたヴァイオリンの、抑圧されながらも叫ぶような音色がとても綺麗で、聴きながら気がついたら泣いていました。
第3楽章のメヌエットは不思議な和声で綴られていて、曲を途中でばっさりと断ち切るような終わり方が面白いなぁ、と思いました。1楽章、2楽章、3楽章……と、音楽でいろいろな「別れ」を象徴しているようで。なるほど、確かに『告別』だなぁ、という。
え?そこで終わってしまうの?と戸惑う気持ちが残る中、いよいよ問題の第4楽章に突入です。プレストという速いテンポで始まった曲が一度止んで、仕切りなおしてアダージョへ。
曲が進むと、突然、チェロの後ろの方やホルン、コントラバスの辺りでいきなり、数名の団員さんたちが立ち上がりました。「ちょっと、飲みにでも行こうや」とばかりに、楽器を持って舞台下手へ去っていきます。
ああ、来たな。皆さん、演奏を途中でやめて去っていかれるんだな。
と思っておりましたら、後ろの席にいたオジサマたちが「え? なんで出ていくん?」と戸惑ったご様子で口々に話しておられました。
一緒に帰ろう、と別の団員さんの肩を叩いたり。ストールを巻いて上手側へ去って行く女性団員さんがおられたり……、といった様子はまるで、「じゃぁ、皆。何か面白いことやってステージから下りようか」と聖響さんに指示されていたようではありませんか(笑)
後ろのプルトからいなくなっていく団員さんたちを見て、途中で後ろのオジサマたちも「これ、そういう演出なんやな」と気がつかれたようでした。
そして、ついに、弦4部の1プルト目の8人だけが残されて。
その8人も、やがて演奏をやめて一人、また一人と去っていくわけなのですが。茶髪のチェリストさんが、聖響さんに赤いバラの花を投げて、それを受け取って胸ポケットに差す聖響さんに、思わず爆笑してしまいました。さらに芸が細かいことに、そのチェリストさん。「退場」と大きく書かれた日の丸の扇子をバッ!と開いて、ステージを横切るように上手側へ去っていかれました。
さあ、ステージに残されたのは、聖響さんとコンマスさんと、ヴィオラの首席さんと、第2ヴァイオリン首席の女性、と四人だけになりました。
お次は誰が?
聖響さんは、やっぱり最後まで残るのかしら?
と思っていましたら、動いたのはなんと聖響さんでした(笑)
ヴィオラ首席の方が演奏を終えてステージから去っていくのに便乗して(?)、指揮台から下りて、ヴィオラの方と握手をして、
「じゃ、自分もコレで。あとヨロシク」
てな感じで歩いていく聖響さんが……メチャメチャ楽しそう!!(笑)
ちょっと待って下さい。アナタまでいなくなっちゃうんですか!? っていうか、寂しいお別れの曲のはずですよねぇ、この曲って!?
と心の中でツッコミを入れたのは、私だけではなかったはずです(笑)
多分思わず「マジっすか!?(笑)」と声が出てしまっていたと思います。
そして、ステージにはヴァイオリンのお二人だけが残されて、律儀に最後まで演奏して、終曲と相成りました。
え?
演出の記述ばかりで、曲の感想がないじゃないか、ですと?
スミマセン。演出があまりに面白くて、「してやったり」とばかりに、悪戯っ子のような顔をしておられる聖響さんが失礼ながらも可愛らしくてですね。
別れを惜しむかのような曲とは裏腹に、笑いの風景が展開されているステージに心奪われ、曲をほとんど聴いておりませんでした(苦笑)
大いに笑わせていただいて盛り上がった客席の拍手に応えるかのように、団員さんたちが戻ってきたステージでは、ハイドンの交響曲では使われなかった楽器を加えるべく、椅子と譜面台がいくつか追加されていました。
あ、アンコールやるのね?
曲は何を?
と思っておりましたら、聖響さんが客席の拍手にストップをかけて、お話してくださいました。
来年の、モーツァルトシリーズの予告編、といいますか、ご挨拶といいますか。
『歌劇「フィガロの結婚」より 序曲』でした。
思わず、身を乗り出して聴いてしまいました。
大盛りのフルコースをいただいた後、大皿にごっそり盛られたデザートまでいただいてしまったような満足感でした♪
交響曲第39番の充実感といい、『フィガロ』の鮮やかさといい。
来年のシリーズ、楽しみです。
終演後はサイン会がある、ということで長蛇の列に並び、サインしていただきました♪

パンフレットの最後、とてもいいお顔で映っておられて大好きなショットなので、その横にいただきました。
その時に、来年のモーツァルトシリーズ、全部聴きに来ます!
と聖響さんにお誓い申し上げましたので。
また、来年も「攻撃的なプログラム」を聴くために、せっせと大阪へ通うことになりそうです。
今日のコンサート、本当に楽しませていただきました。
このテンションで28日から1週間続く期末テストを乗り切ろうと思います。
(2005.11.28に一部加筆致しました)
(2006.2.2に更に一部、修正致しました)

